結3巻 バレンタインデー
2月。 八幡と結衣は交際に向けて距離を縮め、しかし結衣は奉仕部の関係性が壊れる懸念に躊躇し、交際の是非を八幡に委ね、そして煮え切らぬ八幡に醒める。
バレンタインイベントは好意の表明を扱うという点で結衣の初回依頼と相似する。相似としては本編よりも俺ガイル結(というよりもanother)の方が整っている。本編11巻と another の成立が同時期(同日販売)であって、バレンタインイベントが another のクライマックスであったため、だろうか。
雪乃の独白。雪乃は八幡と結衣が二人で会話する姿を見てある種安堵する。二人の会話は聞こえていない。
一段目で肩を寄せ合い、並んで座る彼と彼女。/たった一枚きりのコートのほうが温かそうでvol.Y03, p.009
雪乃が見た二人はただ話しているどころではなく 袖は通さないまま右肩に羽織り、左肩はこっちの腕にぴったりくっつけて
vol.Y02, l.3792 。コートの「ほうが」、比較であるから、雪乃には結衣への嫉妬はないが羨望はある。
たぶんそれはため息ではなくて、安堵の吐息に近い。vol.Y03, p.009
雪乃は本編 「ちゃんと始めることだってできるわ。......あなたたちは」
vol.03, l.2939 の時点で結衣を諦めている。(雪乃の視点では)その諦めたことが正しかった、と再確認している。
但しこのとき八幡と結衣は八幡が雪乃を好きだという事実で合意、かつ結衣はそれを受容している。すれ違っている。
葉山はバレンタインデーのチョコレートを受け取らない。結衣と八幡の仲が公知になりつつある。
なぜかフリーペーパーを作る羽目になり、一色と出かけることになってしまった一件vol.Y03, p.013
きっと、一色いろははお砂糖とスパイスと素敵な何かでできている。
vol.10.5, l.0785 のこと。
「いや、手作り全然いいでしょー。俺的にも? そういうのちょっと憧れるっていうか?」vol.Y03, p.020
本編よりも戸部と海老名の距離が若干近いか。意図不明。
あいつは誰のために作ろうとしたのだろうかvol.Y03, p.020
結衣の初回の依頼、つねに由比ヶ浜結衣はきょろきょろしている。
vol.01, l.0759 のこと。結衣は八幡の為にクッキーを作ろうとした、物語の始まり以前から結衣は八幡を好きだった、それに八幡が気付いていない、ということの再確認。本編と同様。
……ただ、あの日とった行動がまたささくれのような引っ掛かりを生んでもいる。vol.Y03, p.022
本編との差異。
「あの日とった行動」が葉山の 「陽乃さんに伝えたいですね」
vol.Y02, l.3202 であれば、「引っ掛かり」は、三浦が葉山と陽乃の過去を気にしていること。
八幡と結衣が 学校へと向かう道を二人寄り添うように
vol.Y02, l.3344 歩いたことであれば、「引っ掛かり」は、結衣から八幡への好意が公知となっていること、少なくとも三浦や海老名が知っていること、さらにいずれ雪乃がそれを耳にするリスク。八幡は結衣の初回依頼の詳細を知らないので、結衣が八幡に好意を持っている事を雪乃が明示的に知っているという事、を知らない。
八幡は結衣に告白する環境を作るべく、結衣とバレンタインデーにディスティニーシーに行く予定で合意する。
本編では八幡は結衣を誘うも結衣は保留し、八幡は期待して甘えて委ねて待ち、結果として葛西臨海公園デートに至る。
俺ガイル結では、八幡は結衣への告白を前提に能動的に結衣を誘う。
とどのつまり、これは単なる日付に俺と彼女が意味を見出だすか、意味づけをするかの問題だ。vol.Y03, p.037
恋人の日という意味を見出して回避するか、告白することで恋人の日とするか。つまり八幡が結衣に告白する環境を作り、結衣がそれに合意している。
「まぁ、俺はいつでも空いてるから……」/「……その日にするか」vol.Y03, p.037
矛盾。 バレンタインデーであっても八幡が結衣を誘っている事の強調。
いろはを含めた奉仕部の日常。
「雪ノ下先輩、わたしが入ってきた時、めっちゃ驚いた顔してまして」vol.Y03, p.040
恐らく八幡と結衣が二人で会話する姿を見た後遺症。本編では 「わたしが入ってきたときは超いい笑顔だったんですけど」
vol.11, l.0211 。
「あ~……。まぁ、ちょっとゆきのんのこと好きすぎ? というか、構いすぎ? っていうところはある、かも?」vol.Y03, p.045
結衣による陽乃評は初出。
粒すけ、ふさこがね、ふさおとめといった千葉の独自品種もよろしくね? などと、俺が内心で千葉の農業振興に勤しんでいると、vol.Y03, p.054
本編との差異。「粒すけ」は2020年の新品種だそうで。
なお千葉県では収穫した落花生を乾燥させる為の円筒状の野積みを「ぼっち」と呼ぶそうな。などと千葉の農業振興に便乗してみる。
玉縄がバレンタインイベントの共催を持ちかけ、総武高校側は同意する。
本編と異なり、八雪結ともに、バレンタインデーつまり好意の明確化を回避せずともよい。よって、バレンタインイベントを玉縄が主導する、のは作劇上の要請だろう。
書記ちゃん。名前出てこないのも当たり前だ。vol.Y03, p.060
アニメでは藤沢佐和子。
マラソン大会の打ち上げの時、玉縄から名刺みたいなのもらったな……。vol.Y03, p.066
「ここに連絡してくれないか」
vol.Y2, l.3756 。
おそらくこれは先にわざと見劣りする企画を出して、後に本命を出す、アンカリング効果の応用だ。vol.Y03, p.072
本編では八幡が用いた手法。「捨て企画、捨て案を出すことで、本命を通す作戦だな」
vol.13, l.1744 。door-in-the-face, DITF, とも。
折本からチョコをもらうためだけに、こんなことまでしているのか……。なんて遠回しで面倒くさくて気持ち悪いんだ……。vol.Y03, p.073
であるからこれは笑うところ。本編の八幡は雪乃に関わるためだけにダミープロムを持ち出すことまでしている。
それとなく渡すことができる、という需要もあるわけでしょう?」/その瞳は奥底を見透かすように静かだった。/由比ヶ浜もぼうっと雪ノ下を見つめていたvol.Y03, p.078
雪乃が八幡にそれとなく渡すことができる、という需要がある。いろはや結衣はそれを察し受け入れる。
……優しいですねvol.Y03, p.079
など。
「とにかく明るく楽しく、元気にやってもらえれば」/「それも大事なことだと思いますよ」vol.Y03, p.080
いろはが雪乃が身を引いた事を理解した傍証。八幡を譲られた結衣には雪乃に対して普段通りの振舞いが必要だということ。
「ええ。……頑張って」vol.Y03, p.082
お菓子作りを。
「(八幡の告白の受諾を、八幡との交際を)頑張って」、という解釈は捻くれ者の悪い癖だ。として八幡はそれに気付いていない事にしている、事を周辺の饒舌が示す。
「構わないわ。味見して意見をくれれば」vol.Y03, p.083
自ずから結衣の初回依頼、 味見して感想をくれればいいのよ
vol.01, l.1051 前後との対比である。
台詞が結シリーズと本編とで似るが導入や細部、すなわち意味が異なる。
結3巻では、バレンタインイベントの目的は雪乃がチョコレートを八幡に それとなく渡す
こと、で合意した。よって、
「えっと、ヒッキーは……どうする?」
「どうって……。あー……。俺は料理とか作れねぇぞ」
隣に座る由比ヶ浜も何か思い出して忍び笑いを漏らした。
「しょうがないだろ。好きなもんは好きなんだから」vol.Y02, l.3844 辺りの会話。
だろう。かつ、 「小町以外にもそうやってわがまま言えるようになるといいんだけどねぇ」
vol.Y03, p.161 とあり、ここで八幡が雪乃に「チョコレートが欲しい」と言葉にすることが正答であった、と思われる。
本編11巻では、バレンタインイベントの目的は結衣と雪乃が同じ場で八幡にチョコレートを食べさせる事、として暗黙に合意していた。であるので、
あ、じゃあ、ヒッキーは......どうする?」
「俺は料理とか作れねぇぞ」vol.11, l.0909 / vol.Y03, p.083
「カレーくらいしか作れねーが手伝うよ」vol.01, l.1049 の繰り返し
隣に座る由比ヶ浜も何か思い出して忍び笑いを漏らした。
となる。
雪乃の独白。雪乃は八幡へのチョコレートケーキを事前に作る。恋心を封じ友情を擬えてリボン掛けする。
ゆらりと揺れる重いくらいの黒髪に淡いピンクはよく映えた。vol.Y03, p.086
八幡が贈ったもの。 「え? これって......クリスマスプレゼント?」
vol.06.5, l.6080
薄手の黒いエプロンvol.Y03, p.086
八幡と買ったもの。 「どうって言われてもなあ......すげぇよく似合ってるとしか」
vol.03, l.1456
チョコレート、卵、お砂糖、薄力粉、無塩バターにココアパウダー。vol.Y03, p.086
クラシックなガトーショコラ、ココアパウダー混ぜたスポンジケーキにチョコレートを塗ったもの、でしょう。
何度やり直しても、幾度繰り返しても、私は同じものを作るだろう。vol.Y03, p.086
雪乃が定型作業が得意であって、かつこれまで多くのものを定型作業として諦めてきた、だから八幡もそうして諦めようとしている、という表現だろう。恋心を封じ友情を擬えてリボン掛けする、という比喩。
淡いピンクと淡いブルー、二本が離れることがないように、結いつける。vol.Y03, p.086
八幡による雪乃と結衣のイメージカラー。「由比ヶ浜さんがブルーで、私が、ピンク?
vol.06.5, l.6092
総武高校側の参加者が集合。
この間、俺たち奉仕部が仕事らしい仕事をすることもなくvol.Y03, p.088
よって本編から大規模にエピソードが省略されている。材木座、戸塚、川崎、平塚、なども。
「じゃあ……」/その瞬間、葉山は何か小さな呟きを漏らしたようだったがvol.Y03, p.090
不明。陽乃の不在に失望したか。少なくとも陽乃を呼んだのは城巡といろはであって葉山ではない。
戸部は海老名へのアピールを望む。がその手段はない。
「買い出しお願いしていいですか? 飲み物、手配するの忘れちゃって」vol.Y03, p.095
ガハママを登場させるための作劇上の都合、でいいんじゃないかな。
「あたしも行く!」/「いいのっ!」/「まぁ、いいならいいけど……」vol.Y03, p.096
いい。
本編での由比ヶ浜母の登場は11巻のバレンタインイベント後、であるのでこの近辺で登場する事自体には違和感はない。
一方で会話の多くは14巻の由比ヶ浜宅内でのケーキ作りを踏襲する。よって今後ガハママが物語に関わるかは不明。
俺はそっとドリンク棚に手を伸ばし、加糖タイプのコーヒーを籠に入れる。/隠し味。vol.Y03, p.106
本編14巻、由比ヶ浜宅でのケーキ作りを確認したところ、コーヒーは文中に出てこない。ので「隠し味とは何か」の解はコーヒーではない。
参加者集合。陽乃の興味は八幡ではなく結衣にある。
本編に比して材木座、戸塚、川崎、平塚等が省略されているが、城廻めぐりは呼ばれている。陽乃との接点となる為だろう。
「リボンは赤、白、ピンク、ブラウン、ゴールドの五色、用意してます。」vol.Y03, p.109
伏線。 ブルーのリボンなんて置いてなかった。
vol.Y03, p.149
などと思っていたのだが、陽乃さんの興味は俺にはないらしい。/彼女の視線が向く先にいるのは、雪ノ下と由比ヶ浜だ。vol.Y03, p.119
陽乃は八幡が雪乃を選ばない事を察している。 「で、比企谷くんは? もう選んだ?」
vol.Y01, l.3443 。であれば陽乃は八幡に構う必要がない。
いろはは八幡に結衣にアプローチされる立場を問われ、最終的には自身は陥落するのだろうと考える。
「……そうやって外堀を埋められるのって、男子的にはどうですか?」vol.Y03, p.124
結衣は、雪乃も三浦も八幡も(折本も)公認の状況で、八幡へのチョコレートを作っている。よって人間関係上八幡はそれを拒否し得ない。
真田丸が築かれたとて、大坂の陣は敗北した事実にも興味はないだろう。vol.Y03, p.125
八幡は結衣と交際することになるのだろうと予期している、ということ。さらに言えばそれが敗北であるということ。
葉山は好意を表明できない状態を「不自然」と断じ、好意を表明できる戸部を羨む。
こうして俺と会話するための言い訳として缶コーヒーを用意するあたりが、だが。vol.Y03, p.128
葉山はイベント前から八幡と会話する事を決めていた。葉山の用は恐らく「これならみんな……、みんな自然に振舞える」
、感謝を告げること。本編と同様に三浦やいろはのチョコレートを受けとる事ができること、あるいは(八幡が意図したものではなく、かつ恐らく葉山は陽乃が来ることを事前には知らないが)陽乃にチョコレートを要求できる場を得られたことも含むかも知れない。
「不自然だったのは同じか。……俺も彼女も」vol.Y03, p.130
本編との差異。そんな持って回った当て擦るような遠回しの言い方をする人には覚えがある。
であるので、恐らく葉山と陽乃。好きな相手にチョコレートを要求することができなかった、興味のない相手と一緒にいなければならなかった。
彼と彼女の在り方はどこぞの誰かに似ている気がした。vol.Y03, p.131
結衣と八幡。一方が屈託なく好意を表明し、他方がそれに「仕方ない」「押し切られる」という様な言い訳を得て応答する。
果たして、葉山隼人は誰を指して、ああなれたらいいと言ったのだろうか。/戸部か、海老名さんか、それとも……。vol.Y03, p.131
単純に戸部、明示的に断られない限り行為を表明し続けられる性格、でよいだろう。戸部と海老名、一方が好意を表明ししかし他方には厭われない関係性、でもよい。というより「ああなれたらいい」と言える関係が他にない。
折本は八幡と玉縄に、三浦は葉山に、いろはは八幡に、雪乃は八幡(と小町)にチョコレートを渡す。陽乃は雪乃が八幡を諦めた事を察する。
陽乃さんはにこにこ微笑みながらそのやりとりを見守っていたらしい。その表情はいかにも楽しいものを見たという風だ。vol.Y03, p.136
嫉妬等はない。陽乃は葉山に興味がない。
「友達に渡すくらいはするわ」/「……そっか。雪乃ちゃんは、そうするんだね」vol.Y03, p.139
「友達」は結衣と八幡。「そうする」とは八幡を諦めること。 「看取るように」
とあるから、陽乃はここで雪乃が八幡を諦めた事を察した、のだろう。
仕込みもだいたい終わったしvol.Y03, p.139
「もし、一人分余ったらお姉ちゃんがもらってあげる」
vol.Y03, p.139 とあるので、陽乃は、
と考えていて、かつ、
のだろう。
葉山の呼び出し、誰かに葉山を捨てる姿を見せること、は現時点では含まないだろう。葉山の言動を予期していたとは考え難い。
「……ええ。由比ヶ浜さんがああいう人だから、友達になれた」vol.Y03, p.145
の様な意味だろう。
もっと違う誰かに向いているようにも思える。vol.Y03, p.145
「前に言わなかったかしら。あなたと友達になることなんてありえないわ」
vol.06, l.4153 の頃の雪乃自身。この文章を引くので雪乃と「友達になれた」のは八幡を含む。
本編ではこの表現が 「違和感がある、か。......その違和感を忘れないでほしいなぁ」
vol.11, l.2540 に後続する。同じ文章を共有した意図は不明。
結衣の独白。結衣は雪乃が八幡にチョコレートを作っていた事、自身と雪乃を擬した色のリボンでラップしていた事、を知る。
ブルーのリボンなんて置いてなかった。/あったのは赤、白、ピンク、ブラウン、ゴールド。vol.Y03, p.149
結衣のモノローグ中であれば謎解きを明記できるのだろうか。
「何も言わない隼人が好きだった。わたしに何も求めない隼人が好きだったな」vol.Y03, p.151
恐らく 「いいえ、大好きよ」
vol.13, l.3379 の意味。単純に「興味ないから黙ってろ」の意で良いだろう。
牛乳とコンデンスミルク、それと、ちょっと苦いコーヒー。vol.Y03, p.151
MAXコーヒー。
八幡は結衣からチョコレートを受け取っていない。かつ結衣の葛藤に気付いていない。
この手の照れくささは俺だけが勝手に感じているものではないのだと思う。/何か言いたげな視線やふと降りる沈黙も、そういうことなのだろう。vol.Y03, p.155
まちがっている。先の Interlude の通りこのときの結衣は葛藤している。 俺は
(中略) 浮足立っているのだと思う。
vol.Y03, p.155 のが原因。
八幡は小町に結衣とシーに行く旨を話す。八幡は雪乃からのチョコレートを食し、未練を示す。
「別にウキウキワクワクはせん……。むしろ俺は小町のことで頭がいっぱいだぁ……」/「とか気持ち悪いこと言うと思ったのに……」vol.Y03, p.158
本編では言ってる。
チョコレートを口にほうり込むと、またごろりと横になった。vol.Y03, p.163
余談、アニメ完の1話では八幡は結衣の「お礼」のクッキーを食べずに机の引き出しに入れ、食べない。相当する原作11巻7章では結衣のクッキーについての言及はない。
煌々と光る照明を遮るように腕で瞼を塞ぐ。/明かりもなく、音もない、冷えた部屋。vol.Y03, p.163
煌々と光る照明を遮ってまで明かりを消す。八幡の未練を示すだろう。
結衣の独白。結衣はクッキー作りに失敗していた。「たった一言」があれば終わらせられる、なければ諦められる、として結衣は八幡に決断を委ねる。
彼のことを考えて、彼女のことを考えて、あたしのことを考えて、あたしたちのことを考えて、ブルーのリボンの意味を考えて、明日のことを考えて。それが終わっちゃう日のことを考えて。vol.Y03, p.165
「明日のこと」と「それ」の間にのみ句点ではなく読点がある。ので「それ」はシーから連続することではなかろう。であれば、「それ」は直後ではなくてもいずれ訪れる、奉仕部の関係性が壊れる日、のこと。
たった一言。それだけ。/それがあれば終わらせられる。/それがなければ諦められる。vol.Y03, p.165
結衣は、雪乃を切り捨て八幡と交際するか、八幡を諦め雪乃との友情を維持するか、を八幡の一言に委ねた。
たった一言
は俺ガイルを通して「好き」で良いだろうとして、
などが不明。次巻以降の結衣の行動がヒントになるだろう。
容易な組み合わせとして、「終わらせられる」と「終わっちゃう」が同義、かつその目的語が「奉仕部の関係性」であって、「全部」とは本編と同様の3人が3人ともに好意を持つ状態だとすれば、「八幡が告白したら雪乃との友情を最終的には諦める、告白しなければ結衣が八幡を諦める」の意となろう。これは八幡が告白した場合に「明日だけでいいから」と整合しないが、明日だけ結衣と八幡とでデートしてその後は雪乃との仲を優先する、の意であれば矛盾はしない。
確かに、バレンタインデーのデートとしては、文句ないシチュエーションだろう。vol.Y03, p.170
結衣が 「デートしよう!」
vol.11, l.3620 を宣言した本編と異なり、八幡はここまでこれがデートであることを名言していない。
いつだったか、いずれここに一緒に来ることになるのだろうとそうぼんやり思っていた。vol.Y03, p.170
隣りのわりかし新しいほうはどうなんだろうな
vol.09, l.4215 のこと。
これまで築き上げてきた俺の根幹が揺らいでいる気がする。/それでもいいのかもしれないと、今は思う。vol.Y03, p.179
八幡が成長したということ。「俺の根幹」は「青春とは嘘であり悪である」に代表される 捻くれた孤独体質
vol.01, l.0157 のこと。思春期・青年期の終わり、成人期の始まり。発達過程でいうところの自他分化、自他境界の明確化。
なお本編ではこの成長は 胸の内でくすぶっていたいくつかの物事に関して、既に割り切った。切り捨てた。心のどこかでひっかかっていたことについては、諦めてしまった。
vol.13, l.0527 が対応するだろう。
中途半端に上げたままの手の置きどころに悩むように、その手を虚空に彷徨わせた。/下ろした位置は俺の手の横。vol.Y03, p.183
結衣は八幡の手を握れない。あるいは八幡が握り返す事を期待したか。
それともあれか、遠足前日眠れなくなる症候群みたいなやつか。vol.Y03, p.184
八幡はまちがっている。Interludeにある様に結衣は葛藤している。
「けど、今は、人目を気にする必要ないなら、振り切って、はしゃいでもいいんじゃないかって気がしてきてる……」/「……最初から、そうしてればよかったかも」vol.Y03, p.191
八幡が成長していたならば、取れる選択肢はあった、ということだろう。
組み合わせ多数であって具体的な意味は特定不可能。
まちがえないように、あやまらないように。慎重に正しい言葉を選んで。/ただ、まちがえたのだ、という実感だけがあった。vol.Y03, p.197
八幡は自身の要望を正しく表現したのみで、結衣が望んだたった一言
、あるいは雪乃をどう扱うかという視点、は含まない。この八幡は 「勝手に気持ちよくなってる」
/ 「独りよがりな男」
vol.Y03, p.150 であって、陽乃に告白し振られた葉山と同じ構図である。
まちがえないように、あやまらないように。
は本編の だから、一番まちがっていると思うものを選んだ。
vol.14, l.4901 との対比だろう。これはこれでベンチャー起業への勧誘であって恋愛要素を一切含まないけれど、それでも強烈な情熱と将来の展望と相手の利益(がないこと)を訴えている。
以下次巻なので検証反証不可能。信じないでね。
聞いたら終わっちゃいそうで、聞けなかった。vol.Y03, p.198
そういうことじゃないって誤魔化されたら。
や そう受け取っても構わないって言われたら。
と それがあれば
や それがなければ
vol.Y03, p.165 では、八幡の態度が大きく異なる。「誤魔化す」という撤回、「受け取って構わない」という責任転嫁、では、いずれにせよ交際の根拠が結衣の決断のみとなる。例えば交際による奉仕部の崩壊の責を結衣のみが担うことになる。
それを聞いたら八幡がどう答えるかは不明。適当なごまかしも嘘もお為ごかしもやりそうではある。が、これまで築き上げてきた俺の根幹が揺らいでいる気がする。
vol.Y03, p.179 後の覚醒八幡であれば、八幡は問われれば「好きってこと、付き合うってことであってる」と答えるとは思われる。本編でこれに相当する 「そのへんの責任も、まぁ、取れるなら取るつもりです」
vol.14, l.4833 も陽乃に責を問われた結果の応答である。
あるいは結衣の二択に対して別の選択を提示する事自体は本編の 「これで、ほんとにいいと思う?」
vol.14, l.4229 に類似する。これと同様に次巻以降の八幡は斜め下のやり方で結衣も雪乃も救ってしまう、のかも知れない。
なお「終わっちゃう」の目的語が奉仕部か八幡との仲か、 それが終わっちゃう日のことを考えて。
vol.Y03, p.165 の「それ」と同一か否か、などは現時点推定不能。但し Interlude の主題はそこにはなく、特定する必要はない様にも思われる。
痛いくらいにドキドキしてた心臓は、ただ、痛いだけ。vol.Y03, p.198
「ドキドキ」が消えている。ドキドキ
とは入学式のあの日
vol.Y03, p.165 に始まる感情すなわち恋であって、痛い
苦しい
怖い
は全て奉仕部絡みである。よって、結衣の八幡への恋心が醒めて、雪乃への罪悪感だけが残っている事を指す、かもしれない。
何より由比ヶ浜はまちがわない。ここまでの八幡は、雪乃もまだ好きだという理由で(あるいは結衣のその理解に甘えて)、「先に好きになったのは結衣だ、八幡はそれに応えただけだ」を担保した上で、「肝心な一言は言わない」事が真心だ、という種の不誠実な態度を貫いている。そんな八幡を選ぶことはまちがっている、と描かれてはいるだろう。
復習がてら、結3巻前後の3人の関係性を 本編プロム編 と同様に近似すると
「しょうがないだろ。好きなもんは好きなんだから」/
「そっか。好きなんじゃ、しょうがないね」vol.Y2, l.3847
静かに扉を閉じる。vol.Y03, p.009
「わかってる。ちゃんとするよ」/
『うん、聞こえてた』vol.Y1, l.2254
一段目で肩を寄せ合い、並んで座る彼と彼女。vol.Y03, p.009
──ずっと前から、好きだったんだ。vol.Y01, l.0187
「ちゃんと始めることだってできるわ。......あなたたちは」/
そう言った雪ノ下は穏やかな、けれど、少し寂しげな笑顔を浮かべる。vol.03, l.2939
「ちょっといろいろあるの」vol.Y2, l.3832
静かに扉を閉じる。vol.Y03, p.009
だろうか。