01巻 結衣の依頼、テニス対決
4月。八幡は奉仕部に入部し雪乃に一目惚れする。そこに八幡と結衣を慕って結衣が合流する。
八幡は奉仕部で雪ノ下雪乃に出会う。奉仕部では「勝ったほうが負けたほうになんでも命令できる」。
世界が終わったあとも、きっと彼女はここでこうしているんじゃないかvol.01, l.0124
八幡が雪乃に一目惚れした表現。
野生の獣は目で殺す!/なに今の目。野生の獣?vol.01, l.0196
単純な反復、天丼で良いだろう。前者は八幡の目、後者は雪乃の目。
「それじゃあ悩みは解決しないし、誰も救われないじゃない」/だいたい「救う」だなんて一介の高校生が言う言葉じゃないだろう。vol.01, l.0394
「救う」「救われる」「助ける」系キーワードの初出。恐らくは雪乃は助けてもらう、救われる、為に奉仕部に参加している。 「だから、これで終わりにしましょう」 参照。
あとにはぽつねんと残された俺が一人きり。vol.01, l.0448
この時点ではまだ雪乃は部室に鍵をかけない。後には雪乃の心の扉の鍵の明喩にもなる。
雪乃は嘘をつかない、他人に阿らない。八幡は雪乃と友達になる事を提案するが、雪乃は断る。「そうやって弱さを肯定してしまう部分、嫌いだわ」。
自らに決して嘘をつかないvol.01, l.0748
「雪乃は嘘をつかない」は俺ガイルの読解上の原則である。
他に 何よりこの女は嘘をつかない。
vol.01, l.3293 、 「私、暴言も失言も吐くけれど、虚言だけは吐いたことがないの」
vol.01, l.3431 など。
「なら、俺が友」「ごめんなさい、それは無理」vol.01, l.0755
「雪乃は嘘をつかない」と合わせ、当初から雪乃ENDが確定していた傍証。物語を通して雪乃は八幡の友達にはならない。
「鶴見先生は私に丸投げしてきた」vol.01, l.0765
鶴見留美との血縁は不明。
結衣が奉仕部室に訪れる。雪乃「あなたのことなんて知らなかったもの」。雪乃は八幡を部室から追い出す。
「あなたのことなんて知らなかったもの」/「あなたの矮小さに目もくれなかったことが原因だし、何よりあなたの存在からつい目を逸らしたくなってしまった私の心の弱さが悪いのよ」/「ただの皮肉よ」vol.01, l.0887
叙述トリック。雪乃の意図は「事故の被害者としての八幡しか知らなかった」「事故とその被害者の存在から目を逸した」「雪乃自身への皮肉」。 「雪ノ下雪乃ですら嘘をつく。」はまちがっている。 参照。
「飢えた人に魚を与えるか、魚の獲り方を教えるかの違いよ。」/「自立を促す、というのが一番近いのかしら」vol.01, l.0949
故に雪乃は助けを求められない限り助けられない。かつ、10巻以降は雪乃は自分自身に自立を促す。
なお八幡は当初からこれに従っていない。
雪乃曰く、結衣には手作りクッキーを食べてほしい人がいる、でも、自信がないから手伝ってほしい。
叙述トリック。 結衣の最初の依頼は「料理を上達したい」ではない。 参照。
八幡は「本当の手作りクッキー」を提示し、「頑張った姿勢が伝われば男心は揺れる」とする。結衣「自分のやり方でやってみる」。
結衣は自身の意思を表明しない。三浦は結衣に憤り、雪乃はその三浦を咎める。
『今まで必死になって人に合わせようとしてたの、間違ってるみたいで』/『まぁ、いいんじゃない』vol.01, l.1692
三浦優美子の結衣を咎める様な発言は全て単なる提案であった、ということ。八幡も雪乃も結衣も、三浦優美子は仲間意識の強化の為に結衣を咎めていると認識していたが、これらは誤解であった、というエピソード。
優美子の描かれ方、八幡から見た優美子像、は作品が進むにつれて反転する。 ただの乙女なおかん
vol.11, l.2617 、 彼女は傲慢なまでの真摯さで、いつも自分の周囲にいる親しい人たちを見守ってきたのだ。
vol.14, l.1347 など。
むしろあれでわかる雪ノ下が変だ。vol.01, l.1897
雪乃も中二病だから。雪乃のキャラクター設定には渡航氏曰く「きれいな中二病」がある。
雪乃も中二病で、カッコイイから設定に基づいて行動していて、けれど「中二病」という言葉の定義を知らない、ということ。
産湯代わりにMAXコーヒーに浸かりvol.01, l.2195
MAXコーヒー初出。
気がついたときには全力で走り出していた。vol.01, l.2240
走り出した主語がサブレか八幡か(リムジンか)が不明。この主語の省略が故意か否かも不明。
「学校でお礼言うって言ってたよ」vol.01, l.2261
このお礼が結衣の手作りクッキー。
テニスの授業。葉山は八幡を「ヒキタニくん」と呼ぶ。
八幡は結衣が「お菓子の人」であること、戸塚が前年から同じクラスであること、を把握していない。
昼休みの間は女テニの子が自主練習をしているようでvol.01, l.2348
戸塚。 先ほど自主練していた女テニの子が
vol.01, l.2421 。
『自信ないんだ?』って言ったら乗ってきた/もうなんかすっごい可愛かったvol.01, l.2371
正しい雪乃像。1巻の時点で既に結衣は概ね間違えない。
戸塚の依頼、テニスの技術向上。雪乃、(恋愛相談は)「聞いた上で手を出せば泥棒猫扱い」
「聞いた上で手を出せば泥棒猫扱いで女子の輪から外されるし、なんなら向こうから告白してきても外されるのよ?」vol.01, l.2611
雪乃が八幡を諦める理由。結衣の初回の依頼は恋愛相談である。
戸塚が怪我、雪乃が離脱。三浦と戸塚は昼休みのテニスコートを賭けて勝負に至る。
三浦はテニス経験者。雪乃復帰、結衣と選手交代。
「あんときも全然諦めてなかったし。馬鹿みたいに超全力出してて、」vol.01, l.3219
「あんとき」とは入学前の交通事故時。
雪乃はゲームを圧倒するが体力切れ。「虚言だけは吐いたことがない」として八幡が「試合を決める」と宣言する。
「この男が試合を決めるから、おとなしく敗北なさい」vol.01, l.3422
テニス戦のエピソードは雪乃のキャラクター設定のお披露目だろう。
とは言えこの時点で雪乃が八幡をここまで信頼できる理由が不明である。下記の通り風も土煙も伏線は存在する。が、しかし、雪乃が一人で昼食を取る八幡を見ていたとして、それでもなお八幡がそこまで信頼に値するとは考えがたい。
臨海部に位置するこの学校はお昼を境に風の方向が変わる。vol.01, l.2352
「土煙を巻き起こして相手を幻惑し」vol.01, l.2889
なお「おとなしく敗北なさい」は命令形であって、「虚言を吐いたことがない」の対象になり得る、真偽を問い得る命題は「この男が試合を決める」のみである。であるから、この台詞は(葉山や三浦が試合放棄しない限り)正しい、と強弁することもできる。
八幡の「魔球」により試合には勝利する。しかし三浦や葉山にすれば勝負は度外視だった。
戸塚は八幡に感謝する。結衣や雪乃のラッキースケベ。
八幡は奉仕部の活動を省みながら再提出用の作文を書く。
三浦、結衣、戸塚、材木座の近況。平塚評、八幡雪乃ともに2勝づつ。タイトルコール。
それが、由比ヶ浜が本音をちゃんと言えるようになったからなのかは知らない。vol.01, l.3652
八幡の独白が正しいとして、結衣がテニスで三浦優美子に敵対したために、三浦優美子が持つ結衣像が変わった、ということ。あるいはさらに三浦優美子は結衣の迎合癖を改めるべく故意に高圧的な態度を取っていた、ということ。
なんだか懐かしいやり取りだった。vol.01, l.3660
「幽霊だなんて馬鹿馬鹿しい。そんなのいないわ」
vol.01, l.0254 の反復。
全巻を通して、平塚の勝負判定には意味はなかろうし、その判定基準も定義されてはいまい。意味がない、定義されていない、という設定だと思われる。
本巻に関しては、依頼者、依頼、その勝敗、は下記だと考える。戸塚のテニスの練習、結衣の 「この試合に勝てばいいのでしょう」
vol.01, l.3287 は平塚を経由していないので計上しない。