01巻 結衣の依頼、テニス対決

01巻 結衣の依頼、テニス対決

4月。八幡は奉仕部に入部し雪乃に一目惚れする。そこに八幡と結衣を慕って結衣が合流する。

1. とにかく比企谷八幡はくさっている。

1. 放課後、 職員室 vol.01, l.0018

平塚は八幡の作文の再提出と奉仕部への参加とを命じる。

  • 登場人物
    • 比企谷八幡, 平塚静

2. 放課後、 奉仕部室 vol.01, l.0093

八幡は奉仕部で雪ノ下雪乃に出会う。奉仕部では「勝ったほうが負けたほうになんでも命令できる」。

  • 登場人物
    • 比企谷八幡, 雪ノ下雪乃, 平塚静
  • 聖地
    • 総武高校 : 千葉市立稲毛高等学校。

世界が終わったあとも、きっと彼女はここでこうしているんじゃないかvol.01, l.0124

八幡が雪乃に一目惚れした表現。

野生の獣は目で殺す! / なに今の目。野生の獣?vol.01, l.0196

単純な反復、天丼で良いだろう。前者は八幡の目、後者は雪乃の目。

「それじゃあ悩みは解決しないし、誰も救われないじゃない」 / だいたい「救う」だなんて一介の高校生が言う言葉じゃないだろう。vol.01, l.0394

「救う」「救われる」「助ける」系キーワードの初出。恐らくは雪乃は助けてもらう、救われる、為に奉仕部に参加している。 「だから、これで終わりにしましょう」 参照。

あとにはぽつねんと残された俺が一人きり。vol.01, l.0448

この時点ではまだ雪乃は部室に鍵をかけない。後には雪乃の心の扉の鍵の明喩にもなる。

2. いつでも雪ノ下雪乃はつらぬいている。

1. ホームルーム後、 廊下 vol.01, l.0469

平塚曰く奉仕部は社会適応の場。

  • 登場人物
    • 比企谷八幡, 平塚静
  • 言及される人物
    • 雪ノ下雪乃

2. 放課後、 奉仕部室 vol.01, l.0565

雪乃は嘘をつかない、他人に阿らない。八幡は雪乃と友達になる事を提案するが、雪乃は断る。「そうやって弱さを肯定してしまう部分、嫌いだわ」。

  • 登場人物
    • 比企谷八幡, 雪ノ下雪乃
  • 言及される人物
    • 平塚静

自らに決して嘘をつかないvol.01, l.0748

「雪乃は嘘をつかない」は俺ガイルの読解上の原則である。

他に 何よりこの女は嘘をつかない。vol.01, l.3293「私、暴言も失言も吐くけれど、虚言だけは吐いたことがないの」vol.01, l.3431 など。

「なら、俺が友」「ごめんなさい、それは無理」vol.01, l.0755

「雪乃は嘘をつかない」と合わせ、当初から雪乃ENDが確定していた傍証。物語を通して雪乃は八幡の友達にはならない。

3. つねに由比ヶ浜結衣はきょろきょろしている。

1. 放課後、 職員室 vol.01, l.0759

平塚は八幡に由比ヶ浜を紹介する手段を思い付く。

  • 登場人物
    • 比企谷八幡, 平塚静
  • 言及される人物
    • 比企谷母, 鶴見先生

「鶴見先生は私に丸投げしてきた」vol.01, l.0765

鶴見留美との血縁は不明。

2. 放課後、 奉仕部室 vol.01, l.0853

結衣が奉仕部室に訪れる。雪乃「あなたのことなんて知らなかったもの」。雪乃は八幡を部室から追い出す。

  • 登場人物
    • 比企谷八幡, 雪ノ下雪乃, 由比ヶ浜結衣

「あなたのことなんて知らなかったもの」 / 「あなたの矮小さに目もくれなかったことが原因だし、何よりあなたの存在からつい目を逸らしたくなってしまった私の心の弱さが悪いのよ」 / 「ただの皮肉よ」vol.01, l.0887

叙述トリック。雪乃の意図は「事故の被害者としての八幡しか知らなかった」「事故とその被害者の存在から目を逸した」「雪乃自身への皮肉」。 「雪ノ下雪乃ですら嘘をつく。」はまちがっている。 参照。

「飢えた人に魚を与えるか、魚の獲り方を教えるかの違いよ。」 / 「自立を促す、というのが一番近いのかしら」vol.01, l.0949

故に雪乃は助けを求められない限り助けられない。かつ、10巻以降は雪乃は自分自身に自立を促す。

なお八幡は当初からこれに従っていない。

3. 放課後、 自販機 vol.01, l.0975

八幡は結衣と雪乃の相談を聞き逃す。

  • 登場人物
    • 比企谷八幡
  • 言及される人物
    • 雪ノ下雪乃, 由比ヶ浜結衣

4. 話が終わった後、 奉仕部室 vol.01, l.0988

雪乃曰く、結衣には手作りクッキーを食べてほしい人がいる、でも、自信がないから手伝ってほしい。

  • 登場人物
    • 比企谷八幡, 雪ノ下雪乃, 由比ヶ浜結衣
  • 言及される人物
    • 三浦優美子, 海老名姫菜, 比企谷母

叙述トリック。 結衣の最初の依頼は「料理を上達したい」ではない。 参照。

5. 放課後、 家庭科室 vol.01, l.1057

雪乃は結衣にクッキーを作らせるが、結衣は料理が下手だった。

  • 登場人物
    • 比企谷八幡, 雪ノ下雪乃, 由比ヶ浜結衣

6. クッキー試食後、 家庭科室 vol.01, l.1145

結衣は雪乃に憧れ、八幡と雪乃と仲良くしたいと考える。

  • 登場人物
    • 比企谷八幡, 雪ノ下雪乃, 由比ヶ浜結衣

7. 放課後、 家庭科室 vol.01, l.1298

八幡は「本当の手作りクッキー」を提示し、「頑張った姿勢が伝われば男心は揺れる」とする。結衣「自分のやり方でやってみる」。

  • 登場人物
    • 比企谷八幡, 雪ノ下雪乃, 由比ヶ浜結衣

8. 放課後、 奉仕部室 vol.01, l.1423

結衣が奉仕部に懐き、八幡にクッキーを渡す。

  • 登場人物
    • 比企谷八幡, 雪ノ下雪乃, 由比ヶ浜結衣
  • 言及される人物
    • 平塚静

4. それでもクラスはうまくやっている。

1. 昼休み、 教室 vol.01, l.1479

結衣は自身の意思を表明しない。三浦は結衣に憤り、雪乃はその三浦を咎める。

  • 登場人物
    • 比企谷八幡, 雪ノ下雪乃, 由比ヶ浜結衣, 葉山隼人, 三浦優美子, 戸部翔, 小田, 田原

2. 昼休み、 教室を出たところ vol.01, l.1678

結衣は迎合を改める。三浦はそれを受け入れる。

  • 登場人物
    • 比企谷八幡, 雪ノ下雪乃, 由比ヶ浜結衣, 三浦優美子
  • 言及される人物
    • 平塚静

『今まで必死になって人に合わせようとしてたの、間違ってるみたいで』 / 『まぁ、いいんじゃない』vol.01, l.1692

三浦優美子の結衣を咎める様な発言は全て単なる提案であった、ということ。八幡も雪乃も結衣も、三浦優美子は仲間意識の強化の為に結衣を咎めていると認識していたが、これらは誤解であった、というエピソード。

優美子の描かれ方、八幡から見た優美子像、は作品が進むにつれて反転する。 ただの乙女なおかんvol.11, l.2617彼女は傲慢なまでの真摯さで、いつも自分の周囲にいる親しい人たちを見守ってきたのだ。vol.14, l.1347 など。

5. つまり材木座義輝はズレている。

1. 放課後、 奉仕部室 vol.01, l.1736

千葉県横断ウルトラクイズ。

  • 登場人物
    • 比企谷八幡, 雪ノ下雪乃, 由比ヶ浜結衣

2. 翌日の放課後、 奉仕部室 vol.01, l.1778

材木座が奉仕部を訪れ、ラノベ原稿の感想を依頼する。

  • 登場人物
    • 比企谷八幡, 雪ノ下雪乃, 由比ヶ浜結衣, 材木座義輝

むしろあれでわかる雪ノ下が変だ。vol.01, l.1897

雪乃も中二病だから。雪乃のキャラクター設定には渡航氏曰く「きれいな中二病」がある。

雪乃も中二病で、カッコイイから設定に基づいて行動していて、けれど「中二病」という言葉の定義を知らない、ということ。

3. 翌日の放課後、 廊下 vol.01, l.2019

八幡は材木座のラノベ原稿を読んだ。結衣は読んでいない。

  • 登場人物
    • 比企谷八幡, 由比ヶ浜結衣
  • 言及される人物
    • 雪ノ下雪乃, 材木座義輝

4. 放課後、 奉仕部室 vol.01, l.2038

雪乃、結衣、八幡ともに材木座のラノベを酷評する。

  • 登場人物
    • 比企谷八幡, 雪ノ下雪乃, 由比ヶ浜結衣, 材木座義輝

5. 放課後、 奉仕部室 vol.01, l.2121

酷評にも関わらず材木座は感想を喜ぶ。

  • 登場人物
    • 比企谷八幡, 雪ノ下雪乃, 由比ヶ浜結衣, 材木座義輝

6. 数日後の六限目、体育の授業 vol.01, l.2153

材木座との会話は嫌な時間ではなくなった。

  • 登場人物
    • 比企谷八幡, 材木座義輝

6. けれど戸塚彩加はついている。

1. 朝、 比企谷宅 vol.01, l.2166

小町は八幡の事故後に「お菓子の人」が訪れた事を明かす。

  • 登場人物
    • 比企谷八幡, 比企谷小町
  • 言及される人物
    • 由比ヶ浜結衣, 比企谷父, サブレ

産湯代わりにMAXコーヒーに浸かりvol.01, l.2195

MAXコーヒー初出。

気がついたときには全力で走り出していた。vol.01, l.2240

走り出した主語がサブレか八幡か(リムジンか)が不明。この主語の省略が故意か否かも不明。

「学校でお礼言うって言ってたよ」vol.01, l.2261

このお礼が結衣の手作りクッキー。

2. 翌月、体育の授業、 テニスコート vol.01, l.2279

テニスの授業。葉山は八幡を「ヒキタニくん」と呼ぶ。

  • 登場人物
    • 比企谷八幡, 葉山隼人, 戸部翔, 厚木
  • 言及される人物
    • 材木座義輝

3. 昼休み、 八幡の昼食スポット vol.01, l.2343

八幡は結衣が「お菓子の人」であること、戸塚が前年から同じクラスであること、を把握していない。

  • 登場人物
    • 比企谷八幡, 由比ヶ浜結衣, 戸塚彩加
  • 言及される人物
    • 雪ノ下雪乃, 平塚静, 三浦優美子

昼休みの間は女テニの子が自主練習をしているようでvol.01, l.2348

戸塚。 先ほど自主練していた女テニの子がvol.01, l.2421

『自信ないんだ?』って言ったら乗ってきた / もうなんかすっごい可愛かったvol.01, l.2371

正しい雪乃像。1巻の時点で既に結衣は概ね間違えない。

4. 数日後、体育の授業中、 テニスコート vol.01, l.2498

戸塚が八幡をテニス部に誘う。八幡は断る。

  • 登場人物
    • 比企谷八幡, 戸塚彩加
  • 言及される人物
    • 雪ノ下雪乃, 由比ヶ浜結衣

5. 放課後、 奉仕部室 vol.01, l.2563

戸塚の依頼、テニスの技術向上。雪乃、(恋愛相談は)「聞いた上で手を出せば泥棒猫扱い」

  • 登場人物
    • 比企谷八幡, 雪ノ下雪乃, 由比ヶ浜結衣, 戸塚彩加
  • 言及される人物
    • 島村, 山下

「聞いた上で手を出せば泥棒猫扱いで女子の輪から外されるし、なんなら向こうから告白してきても外されるのよ?」vol.01, l.2611

雪乃が八幡を諦める理由。結衣の初回の依頼は恋愛相談である。

6. 翌日の昼休み、 テニスコート vol.01, l.2707

戸塚と材木座が知り合い、友達になる。

  • 登場人物
    • 比企谷八幡, 戸塚彩加, 材木座義輝
  • 言及される人物
    • 雪ノ下雪乃, 平塚静

7. 昼休み、 テニスコート vol.01, l.2803

雪乃は戸塚らにトレーニングさせる。

  • 登場人物
    • 比企谷八幡, 雪ノ下雪乃, 由比ヶ浜結衣, 戸塚彩加, 材木座義輝

7. たまにラブコメの神様はいいことをする。

1. 数日後昼休み、 テニスコート vol.01, l.2858

戸塚が怪我、雪乃が離脱。三浦と戸塚は昼休みのテニスコートを賭けて勝負に至る。

  • 登場人物
    • 比企谷八幡, 雪ノ下雪乃, 由比ヶ浜結衣, 戸塚彩加, 材木座義輝, 葉山隼人, 三浦優美子
  • 言及される人物
    • 海老名姫菜

2. 昼休み、 テニスコート vol.01, l.3014

勝負が三浦+葉山 vs 結衣+八幡に決まる。

  • 登場人物
    • 比企谷八幡, 由比ヶ浜結衣, 戸塚彩加, 材木座義輝, 葉山隼人, 三浦優美子

3. 試合開始、 テニスコート vol.01, l.3156

三浦はテニス経験者。雪乃復帰、結衣と選手交代。

  • 登場人物
    • 比企谷八幡, 雪ノ下雪乃, 由比ヶ浜結衣, 戸塚彩加, 葉山隼人, 三浦優美子
  • 言及される人物
    • 材木座義輝

「あんときも全然諦めてなかったし。馬鹿みたいに超全力出してて、」vol.01, l.3219

「あんとき」とは入学前の交通事故時。

4. 最終フェイズ、 テニスコート vol.01, l.3315

雪乃はゲームを圧倒するが体力切れ。「虚言だけは吐いたことがない」として八幡が「試合を決める」と宣言する。

  • 登場人物
    • 比企谷八幡, 雪ノ下雪乃, 材木座義輝, 葉山隼人, 三浦優美子
  • 言及される人物
    • 由比ヶ浜結衣, 戸塚彩加

「この男が試合を決めるから、おとなしく敗北なさい」vol.01, l.3422

テニス戦のエピソードは雪乃のキャラクター設定のお披露目だろう。

とは言えこの時点で雪乃が八幡をここまで信頼できる理由が不明である。下記の通り風も土煙も伏線は存在する。が、しかし、雪乃が一人で昼食を取る八幡を見ていたとして、それでもなお八幡がそこまで信頼に値するとは考えがたい。

なお「おとなしく敗北なさい」は命令形であって、「虚言を吐いたことがない」の対象になり得る、真偽を問い得る命題は「この男が試合を決める」のみである。であるから、この台詞は(葉山や三浦が試合放棄しない限り)正しい、と強弁することもできる。

5. もうじき昼休みが終わる、 テニスコート vol.01, l.3434

八幡の「魔球」により試合には勝利する。しかし三浦や葉山にすれば勝負は度外視だった。

  • 登場人物
    • 比企谷八幡, 雪ノ下雪乃, 材木座義輝, 葉山隼人, 三浦優美子, 戸部翔
  • 言及される人物
    • 由比ヶ浜結衣, 戸塚彩加

6. 試合後、 テニス部の部室の脇 vol.01, l.3536

戸塚は八幡に感謝する。結衣や雪乃のラッキースケベ。

  • 登場人物
    • 比企谷八幡, 雪ノ下雪乃, 由比ヶ浜結衣, 戸塚彩加, 材木座義輝
  • 言及される人物
    • 葉山隼人, 三浦優美子

8. そして比企谷八幡はかんがえる。

1. 放課後。 教室, 廊下 vol.01, l.3592

八幡は奉仕部の活動を省みながら再提出用の作文を書く。

  • 登場人物
    • 比企谷八幡
  • 言及される人物
    • 雪ノ下雪乃, 由比ヶ浜結衣, 比企谷小町, 平塚静, 材木座義輝

2. 放課後、 奉仕部室 vol.01, l.3636

三浦、結衣、戸塚、材木座の近況。平塚評、八幡雪乃ともに2勝づつ。タイトルコール。

  • 登場人物
    • 比企谷八幡, 雪ノ下雪乃, 平塚静
  • 言及される人物
    • 由比ヶ浜結衣, 戸塚彩加, 材木座義輝, 三浦優美子

それが、由比ヶ浜が本音をちゃんと言えるようになったからなのかは知らない。vol.01, l.3652

八幡の独白が正しいとして、結衣がテニスで三浦優美子に敵対したために、三浦優美子が持つ結衣像が変わった、ということ。あるいはさらに三浦優美子は結衣の迎合癖を改めるべく故意に高圧的な態度を取っていた、ということ。

なんだか懐かしいやり取りだった。vol.01, l.3660

「幽霊だなんて馬鹿馬鹿しい。そんなのいないわ」vol.01, l.0254 の反復。

平塚による判定

全巻を通して、平塚の勝負判定には意味はなかろうし、その判定基準も定義されてはいまい。意味がない、定義されていない、という設定だと思われる。

本巻に関しては、依頼者、依頼、その勝敗、は下記だと考える。戸塚のテニスの練習、結衣の 「この試合に勝てばいいのでしょう」vol.01, l.3287 は平塚を経由していないので計上しない。