結2巻 マラソン大会
1月。 雪乃と結衣に交際の噂が立つ。三浦優美子は八幡に警告するが、八幡は雪乃の結衣といずれも選べない。その八幡を葉山と結衣の策が救う。
話者は結衣。日記を書く。言葉を探す。
日記自体は 来年の目標決まり。忘れないように日記に書く。
(vol.Y1, l.1262) の回収。
ほんとの言葉って難しい。/それを探すために書いているのかもしれない。vol.Y2, l.0050
「言葉を探す」は俺ガイル結のモチーフ、本編との差異、だろう。
小学館によるコピーは「だから、これは、秘めた本当の気持ちを、言葉にして伝える物語」。とはいえ結2巻時点で言葉にするのは葉山のみ、まだ伝えてはいない。
「聞こえてなかったや。これ、のいきゃん?だから」vol.Y2, l.0063
ノイズキャンセラーは一般にノイズだけをキャンセルしてノックや声は通す。つまりノイズキャンセラーは効いていない。笑うところ。あるいはそれだけ集中していた表現。
「なんだっけ、前、パパに聞いたの。る? る・ぱてしぃなんとかってところが美味しいんだって」vol.Y2, l.0075
谷津の「ル・パティシエ ヨコヤマ」だろうか。
結衣が一緒に買ったセーターを着てくる。八幡と結衣は戸部に気付かない程に話し込む。
「似合うな、それ」vol.Y2, l.0158
八幡が薦めたもの。 「まあ、よく似合ってるし、俺はそれでいいと思うけど」
vol.Y1, l.2818 。
雪乃と葉山、結衣と他校の男子、が話題になる。葉山は爆笑し、三浦らの誤解を解く。
あはっと弾けるような爆笑を浮かべた。vol.Y2, l.0448
葉山が 他校の男子
vol.Y2, l.0395 が八幡であることに気付き、噂の真相を理解した表現。
この爆笑についての八幡の主観は 邪悪過ぎません?
vol.Y2, l.0536 や 嘲笑とか哄笑
vol.Y2, l.0937 である。だが、三浦の理解は 「楽しそうっていうか」
vol.Y2, l.0935 。相反する両者がともに正しいとすれば、葉山は八幡を揶揄できる材料が手に入った事が嬉しい。あるいはさらに陽乃と共有できる話題が。
八幡と結衣は雪乃には噂の話をしないことで合意。
雪乃の誕生日祝い。いろは曰く噂の影響は小さい。翌週のマラソン大会打ち上げ会場探しを約束する。三浦と海老名が奉仕部室を訪れ、雪乃と葉山の関係を問う。
「ゆきのん、お誕生日おめでとー!」「おめでとさん」「おめでとうございますー」vol.Y2, l.0649
当たり前のように、一色いろははそこにいる。
「噂、か。因果なものね」vol.Y2, l.0729
雪乃と葉山と陽乃の小学校時代の諍いの詳細は13巻を参照。 「小学校の時、彼女が孤立していたのは知ってるか。」
/ 「中途半端に手を出して、余計に傷を広げたんだ」
vol.13, l.3235
「もしこれが葉山先輩と雪ノ下先輩がぁ~みたいな1対1の噂話だとガチっぽい雰囲気出ちゃうんでアレでしたけど」vol.Y02, l.0750
本編との差。結ではこの噂話は八幡が過剰に気にしているに過ぎない。「所詮はただの噂話だ。」
vol.Y02, l.2783。
「来月は来月でイベント考えてたりするんで、厳しいんですよね~」vol.Y2, l.0803
「やはりゲームでも俺の青春ラブコメはまちがっている。続」の特典のデートのことだろう。OVA脚本のノベライズが10.5巻の きっと、一色いろははお砂糖とスパイスと素敵な何かでできている。
vol.10.5, l.0784 。
結2巻はTVアニメ「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。続」の円盤特典、俺ガイルanotherが元となっている。これらは執筆時期が近い。
10.5巻に収録のフリーペーパー自体は 「今年は生徒会の予算が意外に余ってるらしいんですよ」
vol.10.5, l.1655 によるものなので、 厳しいんですよね
と矛盾する。
また11巻のチョコレート作りイベントは八幡の発案によるものであって事前の計画はない。この時点でいろはが単独で計画している可能性はある。
三浦は八幡らを心配し「ちゃんとしてくんない?」と訴える。八幡らは「なにか方法を考えるか」と回避する。
本編と異なり進路は話題にならない。
「珍しかったから。隼人があーやって笑うの。」vol.Y2, l.0935
三浦らに見せる葉山の表情は仮面であることの描写。本編 10 巻の手記各編にて独白される通り。
「だかんさ、ちゃんとしてくんない?」vol.Y2, l.0951
八幡は結衣か雪乃かと交際を宣言しろということ。
「優美子も心配してるんだよ」
vol.Y2, l.0960 の三浦優美子の心配とは、
「雪ノ下さんも同じ部活じゃね?」vol.Y2, l.1556 と気付いた様に誰かがそれに気付けば
「寝取り寝取られ振り振られだよ」vol.Y2, l.1671 という噂の対象になる
ということ。三浦優美子の依頼とはこの警告と回避法。
しかし八幡は三浦優美子の心配も依頼も理解した上で、その解法に同意しない。八幡が「ちゃんとしない」、雪乃や結衣に好意を表明しない理由は 「しょうがないだろ。好きなもんは好きなんだから」
vol.Y2, l.3844 。
雪乃は結衣の誕生日プレゼントを使っている。葉山は誰かに告白されている。葉山は過去の経験に倣い噂には特に何もしない。
俺の手を掴んだのは猫の手である。vol.Y2, l.1136
由比ヶ浜からのプレゼント
vol.Y1, l.2841 で選んだもの。 冷静な顔しながら、内心ウキウキで手袋嵌めそうな気もする
という地の文が正しい。
なお現時点で結では雪乃は八幡の贈り物のブルーライトカット眼鏡を使わない。
「こういうポーズを取っておくと、向こうもなにかしなきゃいけない気がするでしょ」vol.Y2, l.1147 /「待っている間、寒そうだし」vol.Y2, l.1155
雪乃は本当のことを言わないことがある。であればこのマッ缶は、雪乃と結衣が結託して、八幡に温かい物を渡すべく、買っておいたもの。
返報性の原理みたいなことだろうかvol.Y2, l.1148
「返報性の原理」はマーケティング用語。意味は雪乃の台詞の通り。
「......大変だな」/言われた葉山は一瞬だけくしゃりと顔を歪める。vol.Y2, l.1237
葉山の孤独の表現。 軽口叩いてからかってやるのも優しさかもしれないが、生憎とそういう仲でもない
であるから、八幡は葉山に対する正答を理解していて、しかし故意に選ばない。
それは今朝がた見た爆笑よりボリュームこそ小さいが、込められた悪意はけた違いだ。vol.Y2, l.1262
八幡は結衣や雪乃の噂を気にしている事それ自体は否定しない。葉山はそれを笑って、あるいは喜んでいる。
どうにか、できればよかったのにな......vol.Y2, l.1277
小学校時代の雪乃をめぐる諍いのこと。 「それを俺はどうすることもできなかった」
vol.13, l.3232 を引く。
噂が拡散する。部長らしく振舞う戸塚に、八幡は何かあったら頼る、と言う。
「好きな人と組めと言われたからといって、別にそういう意味でお主と組んでいるわけではないからな」vol.Y2, l.1349 /「いつまでも過去にとらわれていても仕方あるまい」vol.Y2, l.1371
本編では材木座は八幡のまちがった解法を示す。八幡の解法、葉山の過去を無視し葉山に誰かと組ませる、という今回の解法がやはりまちがっているということ。
俺にしてはずいぶんと素直な答えが口を衝いて出たものだ。vol.Y2, l.1448
結シリーズを通して、八幡には素直な応答が多い。本編での10巻は八幡が他人とコミュニケーションを取る様になる話であったので、結シリーズは既にその成長を終えた後である、ということかも知れない。
戸部曰く、葉山と同様に結衣の周囲もざわついている。八幡はそれに嫉妬する。戸部でさえ結衣と雪乃と八幡が同じ部活である事に思い当たる。戸部は葉山の多面性を見抜いている。葉山は戸部に相談していない。
俺が息を詰まらせた理由は由比ヶ浜がモテるという事実、それ自体ではない。もっと別のものだ。vol.Y2, l.1536
緑色の目をした化け物
とは green eyed monster, 嫉妬。
由比ヶ浜が誰かと付き合う姿は自分でもびっくりするくらい簡単に想像できた。
vol.Y2, l.0571 と合わせて、俺は多分、知らないことが増えてしまうのが嫌なのだ。
vol.Y1, l.1058 で良いだろう。
「参考に聞いときてぇじゃん?どうすればそうなるのか。」vol.Y2, l.1553
戸部が結衣と八幡の関係性を把握しているということ。
「そうなる」とは、他の男子に人気のある結衣が、八幡に好意をもっていて、けれど八幡はそれに明示的に答えない、という状態のこと。戸部はそれを海老名を口説く参考にしたいのだろう。
相模は結衣の陰口に賛同しない。が、噂は広がる。八幡は葉山と異なり早期収束を誓う。
このモブ子とモブ美、相模とはそれなりに親しそうだ。vol.Y02, l.1639
モブ子とモブ実、彼女たちは文化祭のとき、相模と一緒にいた連中だ。
vol.06.5, l.0999 と同一人物か否かは不明。
喫茶店現地集合。八幡と雪乃は恋人の様な会話を回避する。雪乃は結衣の噂に配慮することで八幡と合意。
他にもっといい言葉があるような気がしたがvol.Y2, l.1865 /やれるだけのこと、というのが果たしてどの程度のものかはわからないvol.Y2, l.1873
雪乃は八幡に結衣と一緒にいることを期待している。八幡はそれを躊躇する。
なお本編であっても雪乃は八幡に関して結衣には嫉妬しない。少なくとも描写されない。
いろはと結衣は八幡と雪乃の会話を見ていた。いろは曰く、葉山へのアピールが増えている。いろはは葉山にかこつけて八幡にデートコース考案を依頼する。
「一緒に来たの?」/「はい。ですね」/「そうそう、お店入ろうとしたらばったりvol.Y2, l.1886
矛盾。いろはと結衣の何らかの結託があるか、八幡と雪乃の会話を盗み聞きしていたか。
「安パイ......」「伏兵......」vol.Y2, l.1975
雪乃も結衣も八幡を巡り互いには嫉妬しないが、いろはには嫉妬する。
折本とマラソン大会打ち上げの検討。奉仕部は裏方。玉縄が来る。
「これ、男物もあるんですか?」vol.Y2, l.2108
意図不明。いろはによる八幡の制服姿への言及は結2巻内にはない。ただ話を展開させたのみか。
進路相談会はいろはが片付けた。平塚、八幡が結雪の選択での動揺を悟り、モクテルに擬えて、「大事なのは気持ちだ」「酔いで誤魔化さない、誤魔化せないからこそ、より純粋」として八幡を煽る。八幡「初めて酒飲む相手はもう決めてるんで」
見過ごすことも見逃すことも見落とすことも慣れているはずなのにvol.Y2, l.2258
俺ガイル本編の構造。本編では事件のきっかけ、真相、は描かれることがない。本編であれば結衣が告白されるシーンに八幡が立ち会うことはまずない。
そこにあったのは見慣れない光景だった。vol.Y2, l.2291
本編と同様に平塚は学期末で異動するのだろう。
もう選んだのか?/「......なにを、ですか」vol.Y2, l.2327
「......」とあるので、八幡は平塚の意図を把握している。
いつだかの折本かおりと一緒の帰路で投げかけられた呟きに似ていてvol.Y2, l.2320
じゃあ、どっちが好きなの?
vol.Y1, l.1151 のこと。
わかっていたつもりで何一つできはしなかった。その背中を押してもらった。vol.Y2, l.2445
モクテルは結衣との関係性の比喩。八幡は手に入らない雪乃の模造品として結衣を選択したが、しかしこれまで何もしていない。
煽られた八幡は葉山を捕まえるべく生徒会室で張り込む。
「それこないだのお返しな」vol.Y2, l.2476
「待っている間、寒そうだし」
vol.Y2, l.1155 。深い意味はなかろう。
メンタルの強さには定評のある俺である。vol.Y2, l.2513
なさすぎる。適当ぶっこきすぎる。
いろは「こういう時間とかこういう関係が」「ずっと続くと思ってた」。いろはは八幡や葉山の現状維持の努力を応援する。
規模感ちょっと落としたんでvol.Y2, l.2589
本編に比べて例えば陽乃が不参加。
はっ!今生徒会室で二人きりなのが噂になって既成事実作ってわたしに意識させたのち口説くつもりですか。その作戦には見習うところが多くて今度使わせてもらおうと思いますけどその結果次第で無理ですごめんなさいvol.Y2, l.2574
俺ガイル結2は本編10巻と同時期。いろはは八幡に対してまだ距離感がある。
「当たり前じゃないって気づいちゃったので」vol.Y2, l.2603
当たり前のように、一色いろははそこにいる。
vol.Y2, l.0583 との対比。
本編と異なりいろはは進路相談会について奉仕部の協力を得られていない。本編では平塚経由で奉仕部に発注していた。
いろはすの俺理解度がなかなか高いな。vol.Y2, l.2566 /お互い性格が捻じ曲がっているせいか、俺の賛意は正しく伝わってしまったらしい。vol.Y2, l.2599 /同じく捻じ曲がった性根を持つ相手に、俺のすっとぼけは通用しないらしい。vol.Y2, l.2612
いろはが八幡の思考や行動を概ね理解している。本編ではプロム編での理解度に相当するか。
その当たり前を守ろうって頑張る人も結構かっこいいと思いますけどね。そんなの見たら応援したくなっちゃいますよvol.Y2, l.2619
葉山のこと。
「表彰式、楽しみにしといてくれ」
vol.Y2, l.3139 は 本来、マラソン大会ごときに表彰式なんてないのだが
vol.Y2, l.3164 と矛盾する。つまり葉山は表彰式の存在を大会前に知っている。
これと併せて、噂を収集させる葉山案、表彰式の開催と 「この喜びをどなたに伝えたいですかー?」
vol.Y2, l.3189 に始まる茶番がこの時点で既に仕組まれているということ。
「......あー、乗るか?」vol.Y02, l.2677
二人乗り自体は俺ガイルでは珍しくない。結1巻の折本のみならず 「後ろ乗るか?」
vol.03, l.0464 なども。
八幡は葉山に噂の収束への協力を依頼する。葉山は八幡の意図を看破した上で、陽乃が八幡に好意的であることに嫉妬してあてこする。八幡は噂の対策が八幡自身の感情の問題でしかないと悟る。
「ケリをつけるだけなら、俺と協力せずとも、もっと簡単で確実な方法があるんじゃないか」vol.Y2, l.2760
八幡が雪乃か結衣と交際を宣言すればよい。
それがわかっていながら、俺はあえて問題視した。vol.Y2, l.2800
ハブだとかいじめだとかは案外、些細な悪ノリが引き返せないところまで発展した結果だったりもする。vol.Y2, l.1709
噂話の厄介なところは必ずしも悪意が介在しているとは限らない点だ。vol.Y2, l.0513
などの、「だったりもする」、「限らない」という文末が「あえて問題視」している表現。
ただ一つの不都合な真実を覆い隠すためだけにvol.Y2, l.2811
「ただ一つの不都合な真実」は、結衣や雪乃との関係性はいつか終わるから、雪乃の紛い物として結衣を選ぼうとして、しかしそれを認めることができず、他人に言い寄られる結衣に嫉妬もする、ということ。より単純化すれば八幡が雪乃を好きでけれど言葉にできていないこと。本編10巻以降の八幡の立場と概ね同様。
三浦優美子のちゃんとしろという真摯な言葉を混ぜっ返して曲解した。/
海老名姫菜の物言いたげな表情に気付いていながら見過ごした。
「噂をどうにかしろってことでいいのか」vol.Y2, l.1002
葉山隼人の問いかけをすっとぼけてお茶を濁した。
「放っておけないか。『他校の男子』としては」vol.Y2, l.1260
平塚静の優しい説教を己の都合よく解釈した。
見せかけさえも取り繕えない紛い物を、認めることができるなら。vol.Y2, l.2434
一色いろはの違和感まじりの呟きをお為ごかしで聞き流した。
「ずっと続くと思ってたんですよね~」/
ここで黙ってしまえばそれを認めてしまう気がしてvol.Y2, l.2610
そのうえ、二人で楽しく買い物までしに行くんだからな。vol.Y2, l.2825
「八幡、デートしよ」
vol.Y1, l.3243 。
小町解、「かっこよくない」姿を「見てる人はちゃんと見ている」。沙希と京華が大志の相談を聞いたお礼にクッキーを作る。
「お兄ちゃんは、自分が思ってるほどかっこよくないんだよ?」/「でも、そういうお兄ちゃんだからこそ、できることがあるのです」/「見てる人はちゃんと見ているものですよ」vol.Y2, l.2932
結2巻における解、「怪我をした姿で」「結衣に支えられる姿を周囲に見せる」のこと。結衣が採った正しい解。
メタだが、本編では、材木座は八幡が採るまちがった解法を示し、小町が八幡が採らない正しい解法を示す。俺ガイル結では、八幡は材木座の解を採り、しかし誰かが小町が示した正解を採るという構造かもしれない。
「沙希さんと京華ちゃんからだよ。こないだのお礼だって。」vol.Y2, l.2914
ある意味、川崎大志は大物である。
vol.Y1, l.1583 で大志と話した件。
であれば、俺もきっちり返そう。受け取った想いに見合うものを。vol.Y2, l.2937
結衣ルート選択の意思。
であり一方でそのきっかけになった川崎沙希のクッキーやそれに込めた想いは無視される。川崎沙希の想いは全編を通して顧られる事がない。
本編と異なり八幡は戸塚らテニス部の協力を仰がない。
マラソン大会。いろは、結衣、雪乃は八幡を応援する。八幡は葉山との対話の為に葉山を煽る。
なんで頑なに俺の名前呼ばないんだろうなvol.Y2, l.2980 /こういう時の気遣い、痛み入ります。vol.Y2, l.2985 /だがまあ、気合いは入った。vol.Y2, l.2989
八幡からそれぞれいろは、結衣、雪乃への好感度の対比。本編と同様に雪乃だけが圧倒的に高い。
八幡と葉山は率直な言葉で殴り合う。葉山は覚悟を決める。
そうだろうな、お前が聞きたいのはこんな一般論の振りした言葉じゃない。わかってる。vol.Y2, l.3073
正しい。
本編10巻に比して結2巻では八幡は葉山の思考の推測を間違えない。本編10巻は八幡が葉山の進路の推測をまちがえる話だった。
君はそんなやり方をする必要ないだろvol.Y2, l.3083
「君がすべきなのはそんなことじゃないはずだ」
vol.13, l.3281 を引くだろう。
さらに君「は」であるので、葉山もそんなやり方をしている、つまり葉山も陽乃に対して想いを直接言葉にせずに回りくどいやり方をしている、ということ。具体的には 8巻の 「俺がやりたいことをしただけなんだ」
vol.08, l.2520 として、陽乃に見える様に折本らを罵ったこと、など。
その他プロム篇の引用が多数。葉山が八幡の同位体
vol.03, l.0016 だということ。
「その程度で済む感情なのか?たった一言に押し込めて納得できるのか?」vol.Y2, l.3103
「一言程度で伝わるかよ」vol.14, l.4347
「理解できないな。けど、共感はできる。」vol.Y2, l.3119
酷く共感できて、けれどまったく理解できないお前だからvol.13, l.3292
ある一点においてだけは、爽やかな聖人君子らしからぬ仄暗い執着心を覗かせる。vol.Y2, l.3087
陽乃。
いつだか、あの人が葉山隼人に言ったようにvol.Y2, l.3096
「なんでもそつなくこなす人間なんて面白味がない」
は、「なんでもそつなくこなす人間なんて、面白みがないじゃない?」
vol.08, l.2502 の反復。
せっかく一緒に出掛けたのに、他の奴と買い物してるのを黙って見送る気分に近いな
vol.Y2, l.3078 は そのうえ、二人で楽しく買い物までしに行くんだからな。
vol.Y2, l.2825 への当てこすり。
同じく 「そういう返事、葉山らしい」
も 「そういう返事、隼人らしい」
vol.Y1, l.3086 の反復。
端的には男二人で(言葉で)殴りあって友情を深めている。
本人が一番言われたくない言葉をわざわざ選ぶのが、雪ノ下陽乃のやり方だ。vol.Y2, l.3107
陽乃の設定開示。「共依存」が典型。
彼女も、そうなのかもしれないな......vol.Y2, l.3122
「彼女」とは誰か、「そう」とは何か、は解釈多数。おそらく現時点で同定不可能。少なくとも 「陽乃さんに伝えたいですね」
vol.Y2, l.3206 に至った直接的な理由である。
あるいはさらに「マラソンで勝っていろはと三浦に感謝してみせる」という解法について、どこか悲しげに見えた
vol.Y2, l.2834 葉山を、 「もう、覚悟は決めた」
/ 絶対の自信がこもった笑みで言うと
vol.Y2, l.3140 に変えたきっかけでもある。
「手がないわけじゃない。」/「で、勝てんの?」vol.Y2, l.3127
八幡は葉山の手段自体は疑っていない。
「もう、覚悟は決めた」vol.Y2, l.3131
覚悟が「陽乃さんに伝えたいですね」と宣言すること、それに伴う各方面への対応、であるのならば、
「問題にはならないよ。今までもそうだった」(中略)
どこか悲しげに見えた。vol.Y2, l.2834
であった葉山案が、八幡と葉山の争いの結果、
「陽乃さんに伝えたいですね」vol.Y2, l.3206
と変化した事を示すだろうか。
「司会の一色は目をぱちくりさせ」
/ 壇上の一色もはっと我に返り
とあるので、いろはは葉山案を把握していない。そもそも本編と比して進路相談会が縮小されているので陽乃といろはの接点もない。
表彰イベント。葉山案、多くの前で「陽乃さんに伝えたい」と宣言する。結衣案、八幡と結衣の噂を流す。
なんで葉山が知ってるのやら......vol.Y2, l.3244
不明。とはいえ戸部ら戸塚を含む男子のほぼ全員がマラソン中に転んだ八幡を見かけている。
「ゆきのんならもっとうまくやってくれたと思うんだけど。」vol.Y2, l.3287
雪乃はうまくやるべきところがまちがっている。 包帯の結び目がちょこんとしたリボンの形になっている
vol.10, l.4208 。
優しくない女の子は、嫌いではないけれど。vol.Y2, l.3334
「優しくない女の子」とは結衣のこと。 だから、いつまでも、優しい女の子は嫌いだ
vol.02, l.3217 を引く。
譲歩であれば「今は優しくない女の子は嫌いではないけれど、いつまでも優しい女の子は嫌いだ。」の倒置。八幡の変化を示す。八幡が今は結衣を嫌いではないことの強調。
逆説であれば「優しくない女の子は嫌いではないけれど、好きでもない」の省略。八幡が結衣への告白を回避した理由を示す。雪乃を示す 「好きなもんは好きなんだから」
vol.Y2, l.3844 との対比。
「......なんか、あれだな」/「......やっぱ今日寒いな」vol.Y2, l.3365
地の文からして、八幡から結衣への好意的な表現。 言おうとしていたことは頭から消え失せ
vol.Y2, l.3364 た後なので、「今日寒いな」は本来言おうとしていた言葉ではない。この本来言おうとしていた言葉は 益体ないこと
かつ 今の状況を誤魔化
す言葉であるので、おそらくは雪乃のみが反応し結衣が反応しない種の冗句だろう。
八幡が結衣を選択した箇所は 「わかってる。ちゃんとするよ」
vol.Y1, l.2241 。結衣はこの八幡と小町との会話を聞いている。単純に言えば結衣は八幡の告白待ち状態。
八幡と結衣は雪乃を迎えに一緒に保健室へ行く。
誰かの視線や思惑を気にするようになってしまっているのだ。/まるで、いつかの誰かみたいだ。vol.Y2, l.3470
本編1巻当初の結衣だろう。
いつかちゃんと報いる。/あるいは、報いの時が来るだろう。vol.Y2, l.3493
結3巻以降への布石か。
ケガと寒さを理由に二人で密着しつつ後者に戻り、雰囲気を盛り上げておいて、告白せずに肩透かしして、寒さのせいにしてもらって、そのことについて結衣に報いる。あるいはその報いを受ける。
雪乃は結衣の傷の処置を肯定する。八幡は雪乃の前では結衣の手を取らない。
由比ヶ浜が手を差し出していた。/俺はいよっと勢いつけて立ち上がった。vol.Y2, l.3600
八幡は雪乃の前では結衣の手を取らない。
奉仕部は打ち上げスタッフ。休憩時、八幡は雪乃との仕事終わりの飲みを幻視する。悪くない。玉縄は八幡に名刺を渡す。
なんて、そんな未来を幻視する程度には悪くないvol.Y2, l.3682
その光景はカタログに載ってそうなくらいの幸福感がある。
vol.14, l.1770 など、本編14巻で描かれた結衣との未来との対比だろう。
であれば、結衣との家庭は ありえない想像
vol.14, l.2021 だが、雪乃との労働は起きえる未来、なのだろう。
「君のせいもあると思うが」vol.Y2, l.3715
陽乃の執着は雪乃への執着であって、かつ、この時点で八幡は雪乃に対する態度を表明していない。
「ここに連絡してくれないか」vol.Y2, l.3756
不明。結3巻以降への布石か。
八幡開発モクテル、カルーアMAX。結衣「全部はいらない」八幡「しょうがないだろ。好きなもんは好きなんだから」結衣「好きなんじゃ、しょうがないね」
「いろはちゃんは今日あんまり働いてなかったから、ちょっと......」vol.Y2, l.3820
この時点でのいろはは奉仕部に対してまだ距離をおいている。昔のわたしは思っていたのだ。わたしを含めた異分子をそこに入れたくはないと。
vol.14.5, l.2445 の段階である。これは 「いろはちゃんも一緒に撮ろうよ」
/ 「まずは奉仕部の皆さんでどうぞ」
vol.10.5, l.2769 という台詞に対応する。
なお、本編でいろはが結衣や雪乃との距離を詰めるのは恐らく 「こちらこそよろしくです、雪乃先輩」
vol.12, l.2738 。
「ちょっといろいろあるの」vol.Y2, l.3832
カルーアMAXを結衣が全ては飲まないのと同じく、八幡を結衣は全ては占有しない、雪乃と分け合う、の意か。
「しょうがないだろ。好きなもんは好きなんだから」vol.Y2, l.3844 /「そっか。好きなんじゃ、しょうがないね」vol.Y2, l.3847
八幡は(雪乃を)好きだから、(結衣に告白する雰囲気に持ち込みつつ逃げた事は)しょうがない。
結衣は八幡を雪乃と共有する選択をしているので、結衣にとって八幡のこの態度は問題にはならない。
紛い物の物語で構わないvol.Y2, l.3853
八幡と結衣の合意を示すだろう。
2巻までの結シリーズの展開は
「わかってる。ちゃんとするよ」vol.Y1, l.2241 で八幡は結衣を選択し、結衣はこれを聞いている。
「......やっぱ今日寒いな」vol.Y2, l.3365
となる。したがって、「モクテル」は、
という意味で、八幡と結衣の妥協点の象徴、でもある。