新6巻 ディスティニィーランド

新6巻 ディスティニィーランド

八幡と雪乃は理由なく手を繋ぐ。しかし八幡は肝心な一言を避ける。

しかして、比企谷八幡の計画は先送りされる。vol.N6, p.004

GW前、遠足前日の奉仕部。

八幡は雪乃とディスティニィーを廻るべくパンフを持ち出す。八幡は話を切り出せない。いろははパンフを奪う。結衣は自身のパンフを持ち出し八幡に言い寄り、それに対抗する雪乃に喜ぶ。

そうした些細な変化はこの部室にも訪れている。vol.N6, p.005

アンソロジー各編や14.5巻との時系列を示すか。

物言わぬ証人により、雪ノ下家の深淵は覗かれる。vol.N6, p.020

八幡は遠足で雪乃を誘えない。

いろははネイルにかこつけて触れられる事を嫌がる。結衣はネイルを八幡に触れさせようとして、八幡は逃げる。小町と雪乃はネイルに疎い。

それでも自ら切り出そうとしている分だけ、わずかなりとも進歩はしているのだろう。vol.N6, p.022

つまりこれまで八幡は誰かとの行動の具体化を切り出そうともしてこなかったということ。修学旅行もクリスマス直前デスティニーも。

戸塚や結衣に対しては遊びの約束を持ちかけたことがあるが、雪乃に対しては仕事、誕生日プレゼント、という言い訳無しでは誘いさえしていない。

「ランドを回るコースって各ご家庭にあるようなものだったかしら……」vol.N6, p.030

いろは、結衣、雪乃と結婚したと仮定した場合に築かれる家庭の示唆。

案の定、比企谷小町は看破している。vol.N6, p.046

八幡は結衣やいろはの援護射撃があったにもかかわらず雪乃を誘えなかった。

「一応、クラスの人と回るような話はしていたけれど」 / 「そうか、まあそうだな」vol.N6, p.051

齟齬。雪乃の「一応」は譲歩。「話はしていたけれど(も、決まってはいない、だから誘って欲しい)」などと続く。

不意に由比ヶ浜がふっと苦笑した。 / 「最初は同じクラスでって感じになるよね」vol.N6, p.051

結衣はそのやり取りを把握して、苦笑して、助けに入った。「最初は」。最初以外は違うクラスでも行動できるということ。「午後からは優美子たちと回ろうかなって感じ」vol.N6, p.052 も同様。

「せっかくなら仲良い人と行きたいって話」vol.N6, p.052 / 「せっかくなら仲良い人と行きたいですよねー」vol.N6, p.053

いろはは結衣の意図を理解した上で、八幡に「仲のいい雪乃を誘え」と煽っている。

さらに、 「新しいアトラクション、できたんですよね〜」 / 「あー、一緒に行く友達がいませんもんね」vol.N6, p.009 と合わせ、いろは自身が八幡にディスティニィーに誘う、あるいは誘わせるための布石、だろう。

interludevol.N6, p.062

雪乃。遠足で八幡と廻る件はLINEで合意。陽乃にネイルを依頼。

できれば、やりとりが長く続いたほうが嬉しいけれど……vol.N6, p.063

なんて送ればいいんだ……?vol.N6, p.055 との対比。八幡には話すことがない。雪乃には話したいことが多すぎる。

今のはどう答えても、無理やりその結論にもっていくための設問だった。 / 相手の言葉を待つのではなく、誘い込んで待ち構える。 / 母も使う常套手段だ。 / 私も含めて。vol.N6, p.070

典型的にはセールスや交渉に用いられる話法。

雪ノ下母であれば 「これまでの謝恩会でも、特に不満があったわけではないのでしょう?」vol.12, l.4216「では、また改めて伺いますので、今後は学校側とご相談させていただいても?」vol.12, l.4266 。いろはや平塚が是非のどちらを答えてもその結果は等しい。

陽乃であれば 「新学期大変なんだ。なんかあったの?」 / 「じゃあ、新学期も過ぎたし、これからは時間が取れるんだ」vol.N2, p.053 。八幡がどう答えるかは問題ではない。

謹啓、夢と魔法の国より、彼または彼女の隣から。vol.N6, p.074

遠足当日。

富岡は八幡が雪乃と廻る事を理解している。 午後、雪乃と合流。二人で写真を撮り、言い訳を連ねて手を繋ぐ。 フォール系ライドの落下寸前に雪乃は「好き」と告げ、八幡はそれに答える。

雪ノ下はスマホを構えると、シャッターを数度切る。一枚、二枚と撮るたび、控えめに絡めた腕にきゅっと力が込められていくようだった。vol.N6, p.088

互いの腕が絡んでいるのに、妙に隙間が空いていて、見るからにぎこちなさが漂っていた。vol.14, l.5394 との対比。雪乃がこの画像を反省した上で意識して腕を絡めているのだろう。

「ディスティニィー好きをアピールしてくる男子はすぐ手を触ろうとしてくるらしいわ」vol.N6, p.089

「いるんですよねー。ディスティニィーとか女子の好きなものに理解あるアピールしてくる男子。だいたいそういう人って、やたらとネイルも褒めてきて、ついでに手を触ろうとしてきますよねー?」vol.N6, p.036

「俺も褒めのパターンが尽きそうだったから助かる」 / 「1パターンしかないでしょ」vol.N6, p.093

「どうでもいいけど、そのネイルめっちゃ可愛いな。ちょっと見せてもらっていい?」vol.N6, p.080 p.089 のこと。

言い訳めいた過程を踏んで、遠回しに当て擦り、少しづつ互いの言葉を引き出して、その思いに輪郭を与えていく。vol.N6, p.093

新での八幡と雪乃のテーマ。

「……好き」 / 待ち構えられたら、俺も何か言わないわけにはいかない。vol.N6, p.094

誘い込んで待ち構える。 / 本当に、なんて面倒くさい人たちなのだろう、私を含めてvol.N6, p.070 を引く。 雪乃は前日の時点で八幡に「好き」と告げることを計画していたということ。

状況が 「いつか私を助けてね」vol.09, l.4194 と等しい。かつて雪乃は 「あなたに助けてもらえた。」 / 「だから、この勝負も、この関係も……、これで終わりにしましょう。」vol.13, l.4522 としていて、雪乃は助けられたが故に八幡を諦めた、という経緯がある。これが払拭されているということ、だろう。

呟いたのはたった二文字、いや三文字?それとも五文字か八文字か。vol.N6, p.095

不明。下記のいずれも一生かけて言うものではないので誤っている。

かけがえのないその一瞬は、なんてことない未来のために。vol.N6, p.096

八幡と雪乃は理由なく手を繋ぐ。

雪ノ下がいつの間に買ったやら薄い縦長のビニール袋を揺らしている。vol.N6, p.096

雪ノ下はいつの間にか買い物でもしてきたのか、薄い縦長のビニール袋をバッグにしまっているところだった。vol.09, l.4201 を引く。今度は雪乃は写真を八幡から隠さない。

その差し伸べられた手を取るのに、言い訳も理由ももういらないのだ。vol.N6, p.097

「言い訳」は 「ディスティニィー好きをアピールしてくる男子はすぐ手を触ろうとしてくるらしいわ」 / 「そのネイルめっちゃ可愛いな。ちょっと見せてもらっていい?」vol.N6, p.089

「理由」は さしたる理由もないのにその手に触れることなどありえない。 / けれど、理由はあるのだ。 / 「……手放したら二度と掴めねぇんだよ」vol.14, l.5030