新2巻 雪ノ下家との会食

新2巻 雪ノ下家との会食

八幡は雪ノ下家との会食を乗り切り、結果として八幡は雪ノ下母に好かれる。

interlude 何はともあれ、由比ヶ浜結衣は相槌を打つ。vol. N2, p.004

話者は結衣。いろはと小町は躊躇する結衣を応援し、結衣は関係性を再定義すべく決心する。

「外堀埋められたそばから内堀掘ってくような男ですから」vol. N2, p.007

八幡の 外堀を埋めたとて、俺にはまだ内堀が残っているvol.N1, p.088 の繰り返し。かつ、陽乃は後に八幡を 「外堀埋められた隙に内堀彫り始めるような子だし」vol. A1, l.3482 と評する。

小町と陽乃のつながりを示すかもしれない。時系列としては、出版順とは異なり、陽乃が小町の台詞を引用していることになる。アンソロジー1は雪ノ下家との会食後である。

「うん、まぁ、クズなんだよね……」vol.N2, p.008

結衣から見た八幡の評価。

この一年間と、その少し前のことと、それからこの一ヶ月くらいのことを考えながらvol.N2, p.008

「この一年間」は本編の1年、「この一ヶ月」は12巻以降、結衣とのデートを繰り返しながら雪乃に乗り換えたこと、だろう。

「その少し前のこと」が不明。交通事故の件だとするなら、2年前の件を「その少し前」と表現するかが疑わしい。であれば本編開始前に何かあったのかも知れない。結衣は八幡を ずっと見てた。 / クラスが違っても、気づかれてなくても、知られてなくてもvol.13, l.1548 としている。

お団子にまとめた髪をくしくし撫でる。そうやって、私は誤魔化した。vol.N2, p.009

結衣は誤魔化すときに髪をくしくし撫でる癖がある。その設定の開示。

14巻のみでも以下。

たぶんだけど、あたしたちはずっとそうだったんだと思う / 大事だから傷つけたくないって思って、大切だから宝物みたいにしまい込んで。vol.N2, p.015

八幡と雪乃。それぞれ 大事なものは替えが利かない。 / 故に守らなければならないと、そう偽ってvol.09, l.2570 , せめて、壊れることがないように、そっと大事に仕舞い込み、これですべてをおしまいにvol.13, l.4546

「だから、逆に気まずい時こそ、攻めるんです」 / 「気まずいときこそ、かぁ……」 / 「……うん、そうかも」vol.N2, p.016

結衣がお菓子を作った理由、アンソロジー編各所で結衣が積極的だった理由、だろう。

にもかかわらず、彼女が猫を飼えないいくつかの理由。vol.N2, p.022

八幡と雪乃。食事までの時間つぶしに喫茶店で馴れ合う。

「あまり暇つぶしってしたことがないから」vol.N2, p.026

「駅で暇つぶしをしたことがない」は日本の富裕層の典型。家が駅至近であれば時間を潰したいなら帰宅すればよい。

「こんなことで何を試すの」 / 世の中にはいるんですよ。こんなことで男のセンスを試してくる子が。一色いろはっていう世界一かわいいクソ女なんですけどね?vol.N2, p.028

「俺を試そうとしてない?」 / 「いつもならそうするところですけどー」vol.10.5, l.1169

雪ノ下がこれでなかなか結構なポンコツであることもわかっている。vol.N2, p.029

雪乃の設定。本編中で既に八幡がいろはと雪乃を 小賢しいクズと有能なポンコツの組み合わせvol.12, l.3313 と評している。

俺が腰を浮かして奥へずれると、空いたスペースにすとんと雪ノ下が座る。 / 雪ノ下は寝床を確かめる猫のように、ソファをふみふみ手で撫でて、座り心地を確かめているようだった。vol.N2, p.033

雪乃はおそらく八幡の体温を感じている。

不意打ちの距離感にも慣れていかなければvol.N2, p.034 / 今後はこういう距離感にも慣れていかなければならないvol.N2, p.038

齟齬。雪乃は なにより、距離感をまちがえていた。vol.N2, p.085 と反省する。

俺も小町に負けず劣らず猫写真を撮るのがヘタクソなのでvol.N2, p.036

いや小町ちゃん、君もうちょっと上手にお写真撮れなかったの……vol.N1, p.051 を引く。

実は俺と雪ノ下が今の今までお互いの連絡先を知らずにいたことをvol.N2, p.039

つまり八幡と雪乃はダミープロムのロケハンの時点でも画像の交換をしていない。

それもって、他にもなんかあんのかしら / それに、猫をダシにして家に誘うなんて、どうにもクズ男ムーブな気がしてならない。vol.N2, p.045

雪乃が家を出る理由は進学だけではないということ。

八幡がまちがっているとするなら、雪乃は八幡との同棲を視野に入れていて、猫をダシにして家に誘う事が正解だった、かもしれない。雪乃曰く、喫茶店はさらにダメ。vol.N2, p.085

拝啓、質問と沈黙の多い料理店より。vol.N2, p.048

雪ノ下家との食事。雪ノ下母は八幡を値踏みする。八幡はその意図が雪ノ下家としての教育の一貫であることを看破した上で、反発し皮肉に満ちた応答をする。 陽乃は八幡や雪乃に付き合っているかと問い、雪乃は八幡に解答を委ね、しかし八幡は答えられない。

実際のところ、最後に顔を合わせてから、一月も経っていない。vol.N2, p.051

八幡が雪ノ下母と最後に逢ったのはダミープロム会場の「比企谷くん。ご迷惑おかけするけど、よろしくね」vol.14, l.6273。これは離任式後つまり 4月頭vol.14, l.3357 である。このエピソードは4月半ばの話であるので半月程度。

「お前、なに何度も断っとるんじゃい」vol.N2, p.051

初回のお誘いは 「ついでに、明日、夕飯食べに来ない?」vol.14, l.6590。半月程度に何度も誘われたということ。

「どこで誰が見ているかわからないですから、念のため」vol.N2, p.066

八幡のテーブルマナーを見ている雪ノ下母に対する皮肉。

「ほんと、大した胆力ね……」vol.N2, p.070

「母にかなり好かれているもの」vol.A2, l.3177 に至る根拠。

雪ノ下母が八幡を評価する理由は不明。なおこの時点では八幡の振る舞いにテーブルマナー上の誤りは見受けられない。そもそもイタリアンはさほどテーブルマナーに厳しくない。

「まぁよし。なんとでもなるわね」vol.N2, p.075

会食の目的が、雪ノ下家の家業承継に八幡が適するか否かを判定することと、八幡にその覚悟をさせること、だということ。

八幡が比企谷家の長男であって、かつ比企谷家を継ぐ必要があるならば、八幡は家業承継者の婿には適さないかもしれない。つまりなんとでもなる事柄ではない。であるから、雪ノ下母は自身を説得しているだけ、雪乃に甘い普通の母親、という表現かも知れない。

隣の席に置かれた手つかずのソルベは、知らぬ間に彼女のため息で溶けていた。vol.N2, p.082

彼に答えを委ねたくせに、その言葉を聞けなかったことに、落ち込んでいるvol.N2, p.086 の描写。

interludevol.N2, p.084

雪乃の独白。一日浮かれていたとして自己嫌悪する。

彼に答えを委ねたくせに、その言葉を聞けなかったことに、落ち込んでいるのが、私vol.N2, p.086

本編ではこの種の雪乃の感情は一切描かれなかった。本編での雪乃の応答のうち理解が困難なものには、何らかの雪乃の思考や感情が設定されていて、しかし描かれなかった、のであろう。

結局、言葉にするのが、事実にしてしまうのが恐ろしくて仕方がないのだvol.N2, p.086

八幡と雪乃とで関係性を言語化しない理由が等しい。八幡のそれは たった一言で伝えられる感情が含まれているのはまちがいない。けど、それを一つの枠に押し込めれば嘘になる。vol.14, l.5094

それなら、私たちはいったいなんなのだろう。vol.N2, p.086

陽乃の雪乃評、「自分が何者かなんてことに悩むような、……どこにでもいる普通の女の子」vol.12, l.4479 の反復。