アンソロジー3 結衣side
本稿では渡航氏による著編のみ言及する。
話者は由比ヶ浜父。氷河期ロスジェネ社畜管理職。若者に寄り添おうとするが嫌われている。結衣と同種の社交スキルを持つ。
結衣父が八幡に似る。それを通して結衣と結婚した場合の八幡の将来の姿を描く。
なんていうか、たぶん、豊かさの基準、みたいなのが変わってるんだよね。お金さえあれば誰でも簡単に手に入るようなもんじゃなくて、もっと違うものを求めてるのかなーって気がする。vol.A3, l.3086
例えば「本物」。
絵文字顔文字スタンプを使うことも忘れない。vol.A3, l.3062
「絵文字と顔文字とスタンプ全部来るし......」
vol.12, l.3576 。由比ヶ浜父のメッセージスタイルは結衣には嫌われている。
由比ヶ浜家では春から結衣作の手作りスイーツが食卓に並び始めた。
結衣は父に塩対応、母にはじゃれる。結衣はピーチパイを作る。上手くなっている。由比ヶ浜母による攻略法「バレないくらい少しずつ少しずつだんだん甘くしていく」
「夏風邪は〜」vol.A3, l.3200
「バカが引く」。だとするならばおそらく意味無し。
よくよく見れば、妻が作ったにしては彩りが足りていない気がする。vol.A3, l.3245
以下は八幡が作ったタルトについての評。
「真心こもってていいと思う〜」vol.A3, l.3264
ガハママに教わったとおりに少しばかりの隠し味が施してある。
vol.14, l.2008 の隠し味の解。 「やっぱ真心、ですかね」
vol.14, l.1886 そのまま。
言って、差し出されたのはクッキーだった。/「......ちゃんとしたのは、また今度作ったげる」vol.A03, l.3309
不明。結衣製の美味しい甘くないクッキーは未出。
競合他社にはないであろうメリットを提示するプレゼン! あえてテンションを上げて前のめりに行くことで/その場の笑い話で済ませることができる高等テクニックだ!vol.A3, l.3361
結衣による提案、 「ずっとこのままでいたいなって思うの」
/ 「ゆきのん、それでいい?」
vol.11, l.4230 の答え合わせ。
「どうしたらいいのか解らない」という雪乃や八幡に対して、水族館・観覧車を通して、「ずっと、このまま」のメリットを提示した。テンションを上げて前のめりに。八幡がそれを拒否しても、 「ヒッキーならそう言うと思った」
/ 由比ヶ浜はにっこりと優しく微笑んだ。
vol.11, l.4266 として誤魔化した。
胸を締め付けるような悲しさと悔しさが滲んでいるvol.A3, l.3396
八幡の感情が雪乃に向いていることを結衣が把握している表現。
「ゆっくり焦らずにやればいいの。」/大切な秘密の呪文を伝えるような真剣さがそこにはある。vol.A3, l.3392
恋愛を超えて既に人生論。焦らずに好きな人の事を考えているうちに優れた大人に成長する。
なおこの時点で由比ヶ浜母は結衣の失恋を知っている。
「バレないくらい少しずつ少しずつだんだん甘くしていくの〜」vol.A3, l.3406
結衣母による八幡攻略法の指南。現状の結衣と八幡の関係ではこの方法論はとても正しい。
話者は由比ヶ浜父。雪ノ下父, 比企谷父との会話、恋を覚えた娘への感傷。比企谷父は八幡に著しく似る。マッ缶が用意されている。
マッカラン/ラフロイグ/ゴッドファーザーvol.A3, l.3494
マッカランは王道、ラフロイグは好みが分かれる程個性的、ゴッドファーザー(が用いるアマレット)は甘い。
本編中はそれぞれ八幡父、結衣父、雪乃父が飲んでいる。それぞれの酒はイメージ的には雪乃父、八幡父、結衣父、に重なると思われる。ズレている。
娘に彼氏がいるのかどうかさえ、怖くて確認することができないのだから。vol.A3, l.3507
軽く矛盾。 「最近、うちのパパとか『彼氏いるのか』とか聞いてきてウザいもん」
vol.02, l.0682
「あがいて悩んで苦しんで、その分だけ本気になる......」vol.A3, l.3534
それでも、ちゃんと考えて、苦しんで......。あがいて。
vol.11, l.4257 あるいは 考えてもがき苦しみ、あがいて悩み......
vol.14, l.6440 。
「あ、あと、いつもの。人数分お願いしていい?」/「マッ缶ですか」vol.A3, l.3565
「MAXコーヒーがあるわけないじゃない」
/ 「まぁ、あるんだけどね」
vol.02, l.2750 を引く。川崎沙希のバイト先にマックスコーヒー缶がおいてあった理由は髭面氏つまり八幡父がそう要求したから。