雪乃案1 けれどそのチョコレートは渡せない
雪乃は八幡にチョコレートを渡そうと試みてしかし渡せなかった。雪乃は、「結衣のいる場で、本命として」チョコレートを渡そうとしたから。本稿はこの理由と背景を示す。
10巻以降の奉仕部は来年ないし卒業後に向けて「三人で仲良くしたい」を実現しようとしている。 三学期編概要 参照。
雪乃が八幡にチョコレートを渡す行為は、これを実現する為の雪乃の案である。
雪乃は何度か八幡にチョコレートを渡しており、
「これ、よかったら」vol.11, l.3149
「……よかったら」vol.11, l.3179
「あたし、先行くね?」/
雪ノ下はまるでいやいやをするように、ほんのかすかに頭を振って、じっと由比ヶ浜に縋るような眼差しを向けた。vol.11, l.3226
である。よって、
と仮定できる。
であるから、奉仕部の終焉に対する雪乃案は、結衣を含めて三人で恋仲になること、だろう。
雪乃の視点ではこの姿は実現可能であったのだろう。雪乃から見た奉仕部の理解は、
「手作りクッキーを食べてほしい人がいる」vol.01, l.1012
であろうから。奉仕部の不安定な関係 参照。
雪乃がチョコレートを渡せなかった理由自体は複数考えられる。
「自分の好きな人を言えば、周囲は気を使うでしょ?/
「聞いた上で手を出せば泥棒猫扱いで女子の輪から外されるし、なんなら向こうから告白してきても外されるのよ?」vol.01, l.2611
「あたし、先行くね?」vol.11, l.3224
雪乃案を直接的に失敗させたのは結衣のこの台詞である。即ち結衣はこの雪乃案を把握していない。さらにこの説によれば雪乃は行動しようとしているにもかかわらず、結衣は雪乃について 言葉にするなんて思わずに、行動するなんて考えもせずに。
vol.12, l.1233 と捉えている。
「小町以外にもそうやってわがまま言えるようになるといいんだけどねぇ」vol.11, l.3540
小町は正答を示す。つまり八幡が 「チョコくれよチョコ……」
vol.11, l.3515 と言えば雪乃案は成功していた。