葉山が文系を選んだ理由
葉山の行動については、進学先、文理選択、文理選択の理由、文理選択を秘した理由、の4つの謎がある。
本稿では、それぞれ
とする。
「っていうかそういう細かいことなら、ヒキタニくんのほうが解るんじゃない?」vol.10, l.2771
に従い、今回葉山の内面に関して、地の文での八幡の推測は正しいとする。
推理ではなくキャラクター設定に従う。メタな視点であるが、俺ガイルの全編を通して、各キャラクターはそれぞれ役割を持っている。
例えば葉山のキャラクターは八幡の 同位体
vol.03, l.0015 として設定されている。八幡の思考や行動は葉山の、葉山の思考や行動は八幡のそれ、として描写される。
「……誰かの背中を無理に追う必要もない」/「……それも含めて、俺だよ」vol.10, l.4141
「誰か」とは陽乃。
葉山のあらゆる行動が「陽乃の背中を追う」で規定されているとすれば、進路自体は 「近所の国立理工系」
vol.04, l.1985 だろう。
さらに国公立の場合、多くの大学がセンター試験で五教科七科目以上を課しているためvol.10, l.2482
すなわち国立理系狙いで受験勉強をしていたならば文系の試験範囲は覆える。
「大学受験はもっと大事だし、就活はたぶんもっともっと大事だ。」/「逆に言やぁ、最後の帳尻さえ合わせればいいんだ」vol.10, l.3064
「それなりに優秀だ。たいていのことはやってのける。」vol.10, l.3079
八幡の台詞ではあって、けれど八幡は葉山の同位体であることから、これが葉山の進学先の選択基準だ、とする。
葉山は、最後に陽乃の背中に追いつけるならば、大学受験や進路選択ではやらかしても良い。「やってのける」であるので、学校では進路選択を文系として、進学先を理系とする。
「文系、じゃないかなぁ。」vol.10, l.3246
結衣は概ね正しい。
数いる知り合いの中でも葉山隼人と海老名姫菜というvol.14, l.6560
解。3年のクラス分け。葉山は文系を選択した。
「来年一年中お兄ちゃんと一緒じゃん。」vol.10, l.0151
小町は理想解を提示する。ここでは葉山が文系を選んだ理由が「来年一年中八幡と一緒に居るため」だとする。
昔から人の期待なり、希望なりに応え続けた結果、それに即した行動しかとれなくなっていたvol.10, l.4412
「それしか選びようがなかったものを選んでも、それを自分の選択とはいわないだろ」vol.10, l.4423
即ち、葉山が文系を選んだ理由は、陽乃の(八幡の情報を欲するという)期待に応える為に、翌年も八幡と同じクラスを選ぶ、である。
この動機は夏合宿や文化祭と同じく、八幡に興味を示す陽乃の道具として 爪とぎ板ほどの価値
vol.13, l.3190 を稼ぐ為だろう。
ここで、クラス分けが成績順であるならば、翌年同じクラスになることは確定的、である。八幡は 実力テスト文系コース国語学年三位
vol.01, l.0272, 葉山は 上に雪ノ下さんがいる
vol.04, l.3176 」すなわち2位である。
「自分のことなんだから真剣に考えないと後悔するぞ」vol.10, l.1306 。
葉山自身この選択の正当性を悩んではいる。
葉山が文系理系を明らかにすれば、それは誰かの期待に背く。 昔から人の期待なり、希望なりに応え続けた結果、それに即した行動しかとれなくなっていた
vol.10, l.4412 に従う。
が、単純に、「陽乃に話題を提供する為に八幡と同じクラスを選ぶ」なんて理由を聞けば誰でも葉山に失望する。海老名以外。