09巻 クリスマス

09巻 クリスマス

12月。 八幡の単独行動により奉仕部は鬱屈する。八幡は奉仕部瓦解の正念場で本心を吐き出す。雪乃と結衣の蟠りは解ける。

「俺は、本物が欲しい」vol.09, l.3902 は嘘告白以降の連作の完結である。八幡は、自身の理想としていた 理解されないことを嘆かず、理解することを諦めるvol.05, l.2260 のうち 理解することを諦める がまちがっている事を知り、 俺はわかりたいのだ。 / 知って安心したいvol.09, l.3076 と自覚する。「本物が欲しい」宣言自体は平塚の薫陶を受けてのものである。雪乃を念頭においた発言だが、しかし雪乃には伝わらず、結衣が収拾する。八幡は本物の条件を改めて設定し、実際に結衣はそれを満たすものの、しかし八幡は結衣を本物の対象として想定しない。 本物とはまちがっていて故に人間関係を壊す。 を参照。

「本物が欲しい」以降、雪乃は八幡の行動を模倣する。雪乃は文化祭での八幡と本質的に同じ手段で玉縄会議の閉塞を打開する。この模倣は11巻で顕在化しプロム編の主題となる。生徒会長選の挫折で喪失したアイデンティティを「本物が欲しい」に寄せる表現であろう。

なお、雪乃と八幡が似た言動を取ること自体は「本物が欲しい」以前から始まっている。この例を下記に示す。

されど、その部屋は終わらぬ日常を演じ続ける。vol.09, l.0020

終焉を意識しつつ奉仕部の鬱屈した馴れ合いは続く。

またしても、一色いろはは扉を叩く。vol.09, l.0113

八幡は葉山らを観察し、妥協により人間関係を維持する手法を知る。

いろはの依頼。海浜総合高校との合同クリスマス企画のヘルプ。八幡はこれ以上の奉仕部の鬱屈を避けるべく、奉仕部として断り、個人として協力する。

今の由比ヶ浜にとっては、三浦たちといることが安らぎなのかもしれない。vol.09, l.0261

この時点での葉山と三浦はそれなりに軋轢を抱えている。これが安らぎであるとは考えがたい。

結衣は人間関係の維持を一人で担う必要がないことに安堵しているか、あるいは、葉山と三浦の軋轢に気付いていないかも知れない。概ね常に正しい結衣はその軋轢が大した問題ではないと判断しているのかも知れない。

戸部はグループ内の不穏な空気を感じて無自覚に行動していたのかもしれないが、海老名さんは自覚的に溝を埋めようとしていたのだろう。vol.09, l.0345

「じゃ、じゃあアレじゃね!初詣とか」vol.09, l.0294 / 「みんなで遊ぶのはいいね」vol.09, l.0302 のこと。

「受験生に迷惑かけるわけにはいかないじゃないですかー」vol.09, l.0587 / ふわぽわ天然系キャラを作ってる一色からしたら本物のふわぽわ天然系めぐりんは眩しいのかも知れない。vol.09, l.0589

まちがっている。 「でも、平塚先生がやれって言うから……」vol.09, l.0557 / 「雪ノ下と由比ヶ浜はどうした?」vol.09, l.1046 によれば、クリスマスイベントへの参加自体が平塚の暗躍によるもの。であれば 「受験生に迷惑かけるわけにはいかないじゃないですかー」 も平塚の仕込み。

「どうかしら?」 / 初めて、なんじゃないだろうか。雪ノ下が依頼を受けるか否かを俺たちに問うことは。vol.09, l.0616

理由不明。

確かに依頼を受けるか否かを八幡らに問う事は初めてと見られる。が、後に10巻でも 「この相談、どうしましょうか」vol.10, l.1575 としており、このときには雪乃や八幡に違和感はない。依頼と相談で扱いが異なるのかも知れないし、「本物が欲しい」あるいは「いつか私を助けてね」等の関係性の変化に伴う変化かも知れない。

つつがなく、会議は踊り、されど進まず。vol.09, l.0722

海浜総合高校との打ち合わせ。玉縄登場、折本も参加。意識高い系かつ会議下手。

柔和で優しげな微笑は一見、完璧に見える。だが、隙がなく完璧だからこそ、底が知れなくてうすら寒い。 / あれによく似たものを俺はどこかで見ているはずだ。vol.09, l.1825

陽乃。葉山が陽乃の後を追いその表現手法をクローンしている表現。

「お兄ちゃん、そういうときは『愛してる』でいいんだよ」vol.09, l.1153

いろは攻略法。小町は理想解の提示役。

追い詰められてるときって別のことしたほうが気が紛れるじゃん?vol.09, l.1158

同じく理想解。鬱屈している奉仕部はいろはの依頼を受けるべきだった。

繰り返し、比企谷八幡は自らに問いかける。vol.09, l.1163

八幡は生徒会長選で間違えた。ならばその責任は一人で負わねばならない、と考える。

結衣は奉仕部の維持に疲弊する。雪乃は八幡と結衣とが暗黙に合意した現状維持に従う。

だから、戸塚彩加は憧れを抱く。vol.09, l.1725

戸塚には孤立を褒められる。しかし八幡は疲弊したいろはや孤立する鶴見留美を見て、自身の方法論が導いた結果を目の当たりにし、自身の方法論を疑う。

「頼られたら断らないからな、君は」 / 「お前だって断らないだろ、別に部活じゃないのに」 / 「俺は君が思っているほど、いい奴じゃない」vol.09, l.1800

文化祭で葉山が雪乃を手伝った理由の回収。葉山は雪乃に頼られても頼まれてもいない。

「俺は君が思っているほど、いい奴じゃない」 / 静かなのに苛烈さを秘めた声音。それはいつだかの夏休みにも聞いたような気がする。vol.09, l.1807

「比企谷君とは仲よくできなかったろうな」 / 優しいだけではなく、どこか苛烈さを秘めた声音vol.04, l.3174 。陽乃に気に入られている八幡への嫉妬の表現。

であるから、 「俺は君が思っているほど、いい奴じゃない」 は、この対比構造に従えば、文化祭での葉山の暗躍が、晴乃が関係する事柄だということ。

なお生徒会長選挙で折本と雪乃を引き合わせた件は本人の言う通り 「俺がやりたいことをしただけなんだ」vol.08, l.2394 だとする。

おそらく、玉縄が一方的に悪いというわけではない。 / 今度も間違えているのは俺のほうかもしれない。vol.09, l.1952

玉縄が一方的に悪い。八幡は この会議の最大のミスは否定が存在しなかったことだvol.09, l.4779 とする。そもそも会議は発想の他にも情報共有や意思決定の機能を持つが玉縄は発想しか行っていない。かつブレインストーミングにはアイディアを収束させる作業が必須であって、これを欠いている。

あるいは風邪かなんかの可能性が高い。/ 病気かな? 病気じゃないよ! 病気だよ(病気)。vol.09, l.2095

(身体の)病気かな、病気じゃないよ、(脳の)病気だよ。

それにどちらかといえば肉より野菜のほうを好んでいたような気がしたが……。vol.09, l.2107

「ぼくは野菜メインだと嬉しいな」vol.07, l.3438

己の中に定めた、自身のあるべき姿を裏切るまいと、そうやって依怙地になっているにすぎない。vol.09, l.2179

「自身のあるべき姿」とは、 孤高を貫き、己が正義を貫き、理解されないことを嘆かず、理解することを諦めるvol.05, l.2260

その行く末を平塚静は願っている。vol.09, l.2190

雪乃は八幡に「今の行動を奉仕部としての活動とするか否か」の最終確認をする。八幡は否定する。雪乃は、「それで壊れてしまうのならそれまでのものでしかない」という八幡の言葉を以て八幡に「奉仕部に来なくて良い」と告げる。

平塚は共感力に欠ける八幡に感情の推定手法を教える。

一人ぽつんと作業している留美を見つけた。vol.09, l.2368 / 留美が満足げな吐息とともに小さな笑顔を見せた。vol.09, l.2422

留美が八幡に笑顔を見せる事が問題なのではなく、見せる笑顔を持ちつつ、同級生などの前ではそれを見せない事、が問題である。

留美は八幡の解決法による被害者として描写される。すなわち今なお孤立する留美の姿は「本物が欲しい」により和解しなかった場合の雪乃の姿であろう。

「あなたの個人的な行動まで私がどうこうできるわけではないし、そんな資格もないもの。」 / 「私の許可が必要?」 / 「いいや、ただの確認だ」vol.09, l.2515

雪乃は自身の願いを八幡に表現できない。

自虐的に、卑下するかの様に表現し、八幡はこれを裏返さずに理解する。「勘違いしないでよねあなたの為じゃないんだからね!」「そうか俺のためではないのか」という状況。 「謝る必要なんてないじゃない」vol.09, l.2524 / 謝ることも許されないなら、他に何が言えるだろう。vol.09, l.2526 も同様。

「いつも、できているつもりで……、わかっているつもりでいただけだもの」vol.09, l.2545

できているつもりで、その実本当は何もできていないのにvol.09, l.2017「わかるものだとばかり、思っていたのね……」vol.08, l.4069 を引く。

できているつもりで、その実本当は何もできていないのにvol.09, l.2017 は八幡のモノローグであって雪乃にはそれを知る術がない。よって偶然の一致である。であれば雪乃と八幡の思考が似ているという表現。

「わかるものだとばかり、思っていたのね……」vol.08, l.4069きっと同じだと思った と続く通り、「わかるものだとばかり、思っていたのね」が相互理解に関する発言だということ。

「私たちに気を遣っているなら、それは不要な気遣いよ」 / 「別に気を遣ってるとかじゃねぇよ」 / 言うべき言葉がこれじゃないのは知っている。vol.09, l.2529

「言うべき言葉」は、小町による理想解は謝ること。 「どうせきっとなんかやったお兄ちゃんが悪いし」 / 「だいたい謝ってないし」vol.08, l.2935

「ずっと気を遣っているわ……。あのときからずっと……。だから……」 / しかし、その続きはついぞ出てこず、vol.09, l.2557

その続きは、 「けど、別にもう無理する必要なんて無いじゃない。」vol.09, l.2559 として逆接することから、 「だから、あなたが、あなたたちが望んでいるならって、そう……」vol.09, l.3027 だろう。生徒会長選以降、雪乃も空気を読んで合わせようとしていたということ。さらに、その奉仕部の閉塞の理由が、雪乃はその類の行為について著しく不器用だったからだ、と雪乃が自覚しているということ。

「それで壊れてしまうのなら、それまでのものでしかない……。違う?」vol.09, l.2560

「……それで壊れる関係なら、もともとその程度のもんなんじゃねぇの」vol.07, l.2901 を引く。が、この会話は雪乃がいない場での八幡と葉山の間の会話であって、雪乃は耳にしていないはず、ではある。

八幡の側が自省的に記述されているが、社会通念上は、八幡の うわべを取り繕うことがまったくの無駄ではないvol.09, l.2578 方が正しく、雪乃の 「それで壊れてしまうのなら、それまでのものでしかない。」vol.09, l.2560 との主張の方がまちがっている。

俺は守ったのではなく、守った気になって、縋っていたのだ。vol.09, l.2573

雪乃ルートの可能性に縋っていた、だろう。

「けれど。感情は理解していない」 / 比企谷八幡がわかろうとしなかったものの正体に気づいてしまう。vol.09, l.2695

感情。八幡は、感情を理解しないのではなく、理解しようとしない、ということ。

あるいは 理解されないことを嘆かず、理解することを諦めるvol.05, l.2260 、あるいは 何も言わなくても通じて、何もしなくても理解できてvol.08, l.4169 の目的語が感情である、ということ。

「ならもっと考えろ。計算しかできないなら計算しつくせ。全部の答えを出して消去法で一つずつ潰せ。残ったものが君の答えだ」vol.09, l.2730

奉仕部の鬱屈の理由の導出法。 「ゆきのんの言ってること、ちょっとずるいと思う」 あるいは嘘告白以降の鬱屈の主因 参照。

「大切なものだから、傷つけたくない」vol.09, l.2776 / 「誰かを大切に思うということは、その人を傷つける覚悟をすることだよ」vol.09, l.2789

弁証法。「本物が欲しい」という問いと解の導出法。 本物は人間関係を壊す 参照。

「お互いがお互いのことを想えばこそ、手に入らないものもある。」vol.09, l.2799

奉仕部の現状。プロム編の主題。雪乃も八幡も結衣も、他の二人が大切で、しかし誰かを選べば、他方を手に入れられない。

それでも、比企谷八幡は。vol.09, l.2845

八幡は平塚の助言に従い自身の感情を「本物が欲しい」に収束させる。

八幡の依頼、クリスマスイベントへの協力。八幡の「本物が欲しい」、結衣の「今のままじゃやだよ」に比して、雪乃だけ自身の願望を言葉にしないまま、依頼を受ける。

平塚先生は確かにヒントをくれた。たぶん今日に限らず、これまでもずっと教え続けてくれていたのだ。vol.09, l.2854

平塚は嘘告白以降ここまで

と八幡を気にかけ、八幡と雪乃の失敗を見守っている。

「……ゆきのんの言ってること、ちょっとずるいと思う」vol.09, l.3010 / 「……今、それを言うのね。……あなたも、卑怯だわ」vol.09, l.3014

嘘告白以降に鬱屈していた理由、雪乃が立候補した理由、の開示。 「ゆきのんの言ってること、ちょっとずるいと思う」 あるいは嘘告白以降の鬱屈の主因 参照。

「俺は、本物が欲しい」vol.09, l.3092

本物は人間関係を壊す 参照。

いつか、由比ヶ浜結衣は。vol.09, l.3203

金曜日。結衣と雪乃が打ち合わせに合流する。

土曜日。平塚静のチケットを契機として、結衣、雪乃、八幡、いろは、葉山、三浦、戸部、海老名、でディスティニィーランドに行く。結衣と雪乃が復縁する。

葉山戸部らには修学旅行後に嘘で隠せる程度の多少の齟齬は残ってはいる。

八幡と結衣は文化祭での約束に基づきシーに行く約束をする。

「アイデンティティ? はぁー?往々にして個性個性言ってる奴に限って個性がねぇんだ」vol.09, l.3235

「それがあれば、私は救えると思ったから」vol.09, l.4258 の「それ」の解。小町は理想解の提示役。

「...あなたにも、わからないことはあるのね」vol.09, l.3469 / 「これくらいのことはあなたも考えていると思っていたから」vol.09, l.3513

不明。

この種の八幡を捉え直す表現は水族館、 「いいえ、少し意外だっただけ。」vol.11, l.3520 にも現れる。この期間は、ちょうど八幡の「本物が欲しい」という依頼を受けて、雪乃八幡へ依存していく過程である。であるから、

などの描写だろうか。

「で、まずは予算と言うわけか……」 / 「君たちはクリスマスの何たるかをわかっていないようだな」vol.09, l.3539

平塚は話題をずらしている。 その予算獲得も平塚先生の反応見る限り難しそうだvol.09, l.4496

「とべっち、大変そうだねぇ」 / 「そうだな。……助けてやったら?」 / 「ヒキタニくんが変なこと言うからだよ」vol.09, l.3830

海老名の性格。葉山や戸部を一歩引いて見ている上に彼らを助ける義理を感じない。

「そっちはぎくしゃくしてねぇのか」 / 「……うん、おかげさまで」 / きっと、海老名姫菜はまた一つ、小さな嘘を吐いたのだろう。vol.09, l.3850

つまり海老名らもぎくしゃくしている。

となると、俺は海老名さんと戸部と一緒に乗るのか……。vol.09, l.3892

八幡が結衣と雪乃から距離をおいている。

「でも、あたしは、また……来たいな」vol.09, l.4003

結衣や雪乃から距離を置いている八幡を結衣側から修復する言葉。

そして、雪ノ下雪乃は。vol.09, l.4036

雪乃は八幡と偶然乗ったフリーフォール系の、落下の写真撮影タイミングで、「いつか、私を助けてね」と囁く。

雪乃は陽乃や葉山との関係を話し、生徒会長選に参加しようとした理由を仄めかす。

いろは、葉山に告白し、振られる。いろは曰く「わたしも本物が欲しくなった」。葉山への未練を示しつつ八幡に「責任とってくださいね」。

「いつか、私を助けてね」 / それはたぶん、雪ノ下雪乃が口にした初めての願いだったのだと思う。vol.09, l.4194

「……本当に、誰でも救ってしまうのね」vol.06, l.3827 を引き、 「いつか、助けるって約束したから」vol.12, l.4625 に繋がる言葉。助ける、救う、は雪乃の人間関係を規定するキーワードである。いずれにせよ雪乃はこの台詞まで八幡にお願い、頼み事、を表明しない。

9巻のエピソードは、この雪乃の台詞を核とすると、ポジティブなものとネガティブなものの二通りの解釈が存在する。しかも前後と矛盾しない。 「いつか私を助けてね」は二通りの解釈を持つ 参照。

雪ノ下はいつの間にか買い物でもしてきたのか、薄い縦長のビニール袋をバッグにしまっているところだった。vol.09, l.4201

後に結衣が雪乃宅で見つける記念写真。 ああ、やっぱり。って、それだけ思ったvol.12, l.1164

「私にできることが何もないって気づいてしまったから、あなたも姉さんも持っていないものが欲しくなった。……それがあれば、私は救えると思ったから」 / いったい何があれば、何を救えたのだろう。vol.09, l.4258

アイデンティティがあれば。「何を」は恐らく八幡を。

メタではあるが、解は小町や陽乃が示す。

回避することが人を傷つける手段になりうることを知っている。 / 「気付いてたんなら覚悟が足りなかっただけなんじゃねえの」vol.09, l.4365

前者は嘘告白とその後の奉仕部の鬱積。後者は 「誰かを大切に思うということは、その人を傷つける覚悟をすること」vol.09, l.2789 を引く。平塚のアドバイスに対する八幡の理解が、告白されたら断る覚悟をしておくこと、だということ。

頑張ってる奴に頑張れとは言ってやれない。小町いわく、そういう時は愛してるでいいと言うが、あれは妹専用の言葉だ。vol.09, l.4453

まちがっている。「愛してる」が理想解。

おのずから、一色いろはは一歩を踏み出す。vol.09, l.4460

八幡と雪乃は会議の合議制の破壊を提案し、いろはは決裁する。海浜総合への対案を作り、八幡と雪乃が会議を発散させ、結衣が収拾する。その後雪乃はいろはに指揮を委譲する。

八幡と雪乃はともに白眼視され、平塚は八幡への同調を選んだ雪乃を懸念する。

「最初の問題提起が面倒くさいもんだ。なら、もう存在してる問題にカウンターをあてればいい」vol.09, l.4613

発想法の一つ。 「これについてはゼロベースから始めることだから、みんな自由にどんどん発言してね」vol.09, l.1965 の反対。 「考えるときは、考えるポイントを間違えないことだ」vol.09, l.2761 の繰り返し。

「でもな、俺のほうがもっと一人でできる」vol.09, l.4979

ぼっちに声を掛けるときの八幡の解。葉山の留美への声の掛け方が 悪手、である。vol.04, l.1294 であった事との対比。

「あなたを推した人がいるのだから、それを信じていいと思う」vol.09, l.5080

雪乃の八幡への盲信。プロム編で雪乃から八幡への依存となるものだろう。

なおこの種の盲信は1巻に既に 「この男が試合を決めるから、おとなしく敗北なさい」vol.01, l.3264 として現れている。あるいは文化祭での失踪した相模の捜索や、修学旅行での嘘告白前の許可なども相当しよう。

それぞれの、掌の中の灯が照らすものは。vol.09, l.5082

12/24、クリスマスイベントの「賢者の贈り物」、成功。

雪乃は八幡の「本物が欲しい」を依頼として受ける。

「最後のタイミング、副会長と確認しておいてくださいね。それと、ケーキの方もよろしくです」 / 「了解だ、会長」vol.09, l.5160

いろはの生徒会長としての自立を示す。

紙コップ代わりとはいえ、いただきものをして、へそを曲げるほど偏屈でも幼くもない。 / 「……ありがとな、湯呑み」vol.09, l.5285

こうわざわざ用意されてそれを受け取れないほど天の邪鬼でもない。vol.07, l.0247 との対比。感謝できる。

「あなたの依頼、受けるって言ったじゃない」 / 「なぞなぞ?」vol.09, l.5295

「本物が欲しい」。

「そうね、なぞなぞかも」vol.09, l.5297

本物とは何か、が。

どこを見るともない視線のまま、ぽしょりと / 「あたしは……、わかっちゃったな。……ヒッキーはわかんなくてもいいかもね」vol.09, l.5392

10巻以降への伏線と捉えるならば、結衣はここで

までもがわかっちゃった、かも知れない。

「ゆきのんは予定、……ある?」 / たぶんいつかクリスマスの予定を聞いたあの何気ない上っ面の会話のことを気にしているのだろう。vol.09, l.5307

「まだちょっと家の予定がわからないけれど」vol.08, l.4316