誰がチェーンメールを送ったか?

誰がチェーンメールを送ったか?

それは静と私が言った。

なぜならばチェーンメールが始まった時点でグループ分けが三人一組であることを知り得るのは平塚のみであるから。

より正確には、自グループの仲を気にした葉山が、その件を平塚に相談し、平塚もしくは葉山が結衣にのみチェーンメールを送った上で、平塚は葉山を奉仕部に向かわせた。

整理

  1. チェーンメールの発生は先週末
    • 「メールが送られ始めたのはいつからかしら?」 / 「先週末からだよ。な、結衣」vol.02, l.1018
  2. グループ分けの人数の公表は奉仕部の面々は今週月曜日、その他は火曜日
    • 昨日帰りのHRで担任が言った「職場見学」のグループ分けvol.02, l.0669
  3. チェーンメールはグループ分けが原因
    • 「うわ、それだ。グループ分けのせいだ」vol.02, l.1035

推理

グループ分けの人数がチェーンメールの動機であるなら、チェーンメールの開始は、グループ分けの人数の告知の後でなければならない。しかしチェーンメールはグループ分け告知の前に始まっている。矛盾している。

よって、上記整理した三点のいずれかがまちがっている。それぞれ、

  1. メールが送られ始めた日時が先週末ではない場合
    • 葉山と結衣が嘘をついている
      • すなわち葉山か結衣が犯人に含まれる。
  2. グループ分けが周知された日時が月曜日・火曜日ではない場合
    • 教師のみが先週の時点でグループ分けを知り得る。
      • すなわち教師が犯人に含まれる。
  3. 動機がグループ分けではない場合
    • 結衣がまちがっている。
      • すなわち犯人の候補が戸部大和大岡以外に広がる。発散し、解けなくなる。

登場人物の全てが正しい事を語っているとするなら、あるいはメタではあるが「結衣は正しい」に従えば、1. と 3. は無いとして、2. 犯人は平塚だと考える。

ただしそもそも「動機はグループ分けだが理由はその人数ではない」、葉山の言う通り「犯人を探す」事自体がまちがっている、そもそも犯人推定を想定していない、解ける様に書かれていない、などの可能性はある。

動機

結衣の言う通り、4人組のうち1人が除外されるとその除外された本人は辛い、だろう。

ここで、チェーンメールの目的は、その除外される誰かが他人を貶めようとした、だけではない。犯人が平塚(や葉山)であるなら、その除外される誰かの疎外感に配慮して、3人1組という枠組みを覆すべく企んだもの、となるだろう。

手口

チェーンメールの送信者は誰でも良い。結衣のアドレスを知っているなら平塚である必要はない。

チェーンメールの送付先は結衣のみで良い。実際に三浦も海老名もチェーンメールに反応しない。

よって、葉山と平塚の間にあったシーケンスは、例えば、

  1. 先週土曜日以前、葉山が平塚に戸部大和大岡の不仲について相談する。平塚は葉山にグループ分けが3人である件を知らせる。なおこの時点で平塚だけが職場見学のグループ分けを知っている。
  2. 先週土曜日、葉山はチェーンメールを擬したメールを結衣宛に送る。
  3. 今週火曜日、グループ分けが周知される。
  4. 今週水曜日、葉山は奉仕部を訪れる。

だろうか。

なおこの時点で陽乃の干渉はない。陽乃は八幡らを、奉仕部の存在をまだ知らない。