作品全体

作品全体

俺ガイル全編を俯瞰する種の話題を雑駁に。

本編開始以前

各巻に散在する本編開始以前の記述を集約する。

全体構成

1巻から2巻

シリーズ初めの2巻でファンを掴まねば続刊しない、というライトノベル固有の事情に従い、キャラクター紹介に終始する。

それでもなお1巻から6巻は、「読者への挑戦状」型のミステリーの構造を取る。八幡は典型的な信頼できない語り手である。事件は八幡から観測できないところで発生進行し、八幡はその全容を把握できない。八幡はその事件を一見素晴らしいがまちがっている方法で解決する。読者への挑戦状は概ね雪乃の「目的語や主語を欠いた決め台詞」という形でなされるが、多くの場合にはその謎解きは直接にはなされない。

3巻から6巻

続刊が決まると同時に、6巻で一区切りだと想定して、本編を通してのほぼ全ての設定が作られた、と思われる。3〜4巻にはプロム編のエピソードへの布石、伏線、が散見される。かつ、残りの伏線は6巻で回収される。

逆に2巻までとそれ以降での矛盾は多いが本サイトではそれは問わない。例えば川崎は初登場時に喫煙者だと示唆されている。でも問わない。

7巻から9巻

雪乃、陽乃、葉山、結衣、らのキャラクターが再設定される。 雪ノ下は以前より柔らかくなった。vol.07, l.0988三浦、お前はおかんみたくいろんな子の面倒見てる時のほうが可愛いこと多いぞ。vol.07, l.2219 など。時間経過に伴い八幡による他人の理解が進展したことを示すだろう。

主題は雪乃と八幡の齟齬、ディスコミュニケーション、すれ違い、さらにはこれらを乗り越える手段を獲得する過程、であろう。これらは6巻まではトリックに過ぎなかった。この主題の変化に伴い、目的語や主語を欠いた決め台詞も役割を変え、登場人物の行動の理由や隠し設定の示唆、という機能になる。

再設定されたキャラクターに基づき、登場人物達はそれぞれ異なるストーリーを持ち、群像劇の様相を呈する。キャラクター同士が各自のストーリーを相互に理解していないことがすれ違いの理由である。端的には結衣は雪乃が八幡を好きなことを、雪乃は八幡が雪乃を好きな事を(雪乃を助けた理由を)、八幡は雪乃が八幡を好きなことを。

八幡と雪乃とが一つの信念を共有し、しかし異なるストーリーを持つ。八幡はもはや孤立しておらず、その「斜め下の解法」が機能不全に陥る。雪乃は陽乃の影響下からの脱却を図りアイデンティティの再確立を志す。雪乃を理解することさえ拒む八幡の自意識が、奉仕部の崩壊を招く。二人の距離感は「本物が欲しい」に収束するが、しかし彼らは結衣がいなければ奉仕部の崩壊を回避できなかった。

10巻から14巻

主題は八幡、雪乃、結衣の関係性の再構築である。「言語化できない人間関係」が主題であろう。むしろ「言語化出来ない関係性」を主題とするが為に、三人の関係性は言語化し得ない程に複雑である。

齟齬は存在するがしかしもはやそれは主題とはならない。言語化できず、目的語や主語を欠いた台詞は多数存在し、しかしその台詞の意味は結衣、雪乃、八幡の間では正しく共有されている。読者にとってもある程度は推理可能に書かれている。

「考えて、自身にできる事をする」が主題の一つだと思われる。結衣、いろは、陽乃、葉山らについては、物語を進める為の舞台装置として振る舞うのではなく、物語の進行に与せずとも、八幡に害なそうとも、自身の行動規範に沿って、自身で考えて行動する。もっとも八幡が観測できる、すなわち本文に描かれるのはその一面に過ぎない。

短編集

短編集として 6.5巻, 7.5巻, 10.5巻, 14.5巻が発行されている。発売順と作中の時間軸とは一致しない。

本編完結以降

本編完結以降 を参照。

俺ガイル結、 俺ガイルanother

いわゆるif, 別ルート。 俺ガイル結とは を参照。

未回収のイベント

下記は現時点で未回収。