比企谷小町の解答はそこにある。

比企谷小町の解答はそこにある。

母親役。理想解は示すけれど八幡はそんな理想解は取れない。まあ親ってそゆものよねきっと。知らんけど。

などなど、コメディリリーフを兼ねつつ、つまるところ奉仕部の危機に対してその普通の解決策を事前に提示する。その普通の解決策が先に提示されているだけで、あるいは問題は八幡や雪乃の性格だということが事前に解るだけで、読み味はかなり軽くなるのよね。逆に俺ガイル読んで「八幡はこーすればいいだけなのに」という突っ込みは概ね既に小町が示しています。

同時に「本物」が示す理想を体現する役ではある。けれど、でも八幡と小町の関係は本物ではない。疑ってないからね。逆に言えば物語がどんなバッドエンドルートを辿ったとしても小町ENDは残ってる。小町は八幡がどれだけまちがえてもそれを正せる。

だからいろはすと小町の二人がとても素晴らしい。どうしてこんな二人を思いつくの。この二人がいるから明日も明後日もずっと続くと思えるよ。「先輩の後輩の一色いろはです」「兄の妹の小町です」ってもう初対面から八幡を取り合ってるという。このひとたち性格すごいなー。

たぶん夏過ぎて八幡たちの受験勉強が始まったら奉仕部にくっついてもいられなくなっちゃう。次回生徒会選挙ではそりゃ立候補するよね。雪乃結衣に応援演説を頼んで立候補して、何故かいろはは葉山ではなく先に八幡に応援演説を頼む、とか幻視してみる。いずれにせよ新生徒会入りは確実ね。

俺ガイルのキャラクターの姓名が神奈川県の地名だというのは有名だとして、比企谷も八幡も小町もカマクラ市内の地名。で「あきたこまち」というコメのブランドに擬えて「お米ちゃん」だそうな。お米は大事と存じます。

小町は理想解の提示役

小町は倫理道徳上正しい解を提示する。言い換えれば教師役。とはいえ八幡はそんな行動を取れない。というか取れたら俺ガイルはこんなに捻れていない。

「小町の見立てだと結衣さんの趣味的にここを抑えておけば問題ないと思います」vol.03, l.1156 / たぶんその一帯に若い女の子向けの商品を扱っているショップが集まっているんだろう。vol.03, l.1160

結衣の誕生日プレゼントの理想解。例えばチョーカー。

「あ、お兄ちゃんだ。おーい!こっちこっち!」vol.04, l.2177 / 「わっせろーい!!」 / 小町にばっしゃーと水をかけられた。vol.04, l.2183

留美の孤立に対する理想解。例えば八幡らは留美を強引に巻き込めばそれで良かった。

「下っ端社員みたいな投げやりな態度を取らない!」vol.05, l.0052

叱咤は文化祭での相模らのサボタージュに対する理想解、だろう。

「久々の再会はハグ」vol.06, l.2978

相模の様に拗ねて逃げた人間を呼び戻す手段の理想解。但し相模に対して八幡では恐らく効かない。

「右が壊れたら左、そっちも壊れたら打者転向」vol.06.5, l.1937

体育祭でのサボタージュ対策の正答。相模を委員長に選んだ理由は 「相模がうざい」vol.06.5, l.0268 程度であるので、委員長を変えればよかった。相模が壊れたら葉山、そっちも壊れたら戸塚。

「なんかやたらと縁結びの神社とかたくさんあるらしいしさ、結んできたらいいよ!」vol.07, l.1172

「やたらと」。雪乃や結衣以外にも、海老名姫菜と戸部の縁を。

「どうせきっとなんかやったお兄ちゃんが悪いし」 / 「だいたい謝ってないし」vol.08, l.2935

嘘告白以降の奉仕部の軋轢の解消の理想解。八幡が黙って嘘告白したことを謝ればよい。

「お兄ちゃん、ちゃんと雪乃さんと結衣さんと話してね? 約束だよ?」vol.08, l.3650

雪乃の生徒会長立候補の意図が解らない状態の対策の理想解。雪乃や結衣と話せば良い。

「お兄ちゃん、そういうときは『愛してる』でいいんだよ」vol.09, l.1153

いろは攻略法。

「追い詰められてるときって別のことしたほうが気が紛れるじゃん?」vol.09, l.1158

鬱屈している奉仕部はいろはの依頼を受けるべきだった。

「アイデンティティ?はぁー?往々にして個性個性言ってる奴に限って個性がねぇんだ」vol.09, l.3235

「私にできることが何もないって気づいてしまったから、あなたも姉さんも持っていないものが欲しくなった。……それがあれば、私は救えると思ったから」vol.09, l.4258 の「それ」の解。

「元旦にお兄ちゃんと一緒にいれば来年一年中お兄ちゃんと一緒じゃん。」vol.10, l.0151

葉山が文系を選んだ解、だろうか。であれば葉山は八幡と同じクラスになる為に文系を選んだということ。おそらく八幡について聞いてくる陽乃の好感度を稼ぐ為に。

「小町以外にもそうやってわがまま言えるようになるといいんだけどねぇ」vol.11, l.3325

チョコレートを渡せない雪乃への対策。八幡が「チョコくれ」と一言言えばそれで良かった。

「京華ちゃんも沙希さんと似てるね! そっくりだね! 将来は絶対美人さんだよー!」vol.12, l.1592

陽乃と雪乃に対する適切な指摘。

「小町、いろんなことできるようになったからさ」 / 「小町でもできることがあるっていうか、ちゃんと役に立ってるっていうか……」vol.12, l.1741

八幡が、雪乃、結衣、葉山、等に対して、「お兄ちゃん」する、彼女らを甘やかす、願いを叶えようとする理由。つまり八幡は、かつてぼっちだった反動で、誰かのために役に立ってることが嬉しいから、誰かを甘やかす。

「お兄ちゃん、ありがとう。お世話になりました」vol.12, l.1765 / 「兄離れってやつなんですかね」vol.12, l.1802

プロムを手がけようとする雪乃に対しては自立として見送る事が正答だった。

「ほい、どっちにする?」 / 片方は白菜がやや多め、もう片方は豚肉が多め。さして大差があるわけでもない。vol.12, l.1313

プロム自粛要請に対する正答。実際のところ誤前提提示は雪ノ下母には機能しておらず、大差をつける必要はなく、ダミープロムを「ひどいプロム」にする必要はなかった。

こいつは落ち着いていたわけではなくて、努めて冷静に振る舞おうとしていただけなのだ。vol.12, l.2959

雪乃や結衣の言動。雪乃も結衣も八幡に対して感情を見せない。読者は Interlude を通してそれらを知るが、しかし八幡はそれらを知らない。

「人の気持ちどころか自分の気持ちも踏みにじるカスなんです!」vol.14, l.6123

結衣を切り捨てた解法のこと。

「というわけで、今日からここは奉仕部の活動場所になります」vol.14, l.6637

八幡も雪乃も結衣も望んでいた、圧倒的な正答。それがまちがっているとしても。